会員の皆様からの質問や講師からのアドバイス

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■その他の知っておくべき知識

ポイントは、差押えることができる財産があるか?無いか!

Q. 債権回収の実務と実際

の会社のお金を、知り合いに貸したけど連絡がとれない。どうやって回収すればよいか?

A. 債務者に差押えることができる財産(責任財産といいます。)があるかどうか

まず、債権回収において最も重要なことは債務者に差押えることができる財産(責任財産といいます。)があるかどうか?という点です。
責任財産としては、債務者名義の預貯金、不動産、有価証券、高価な動産等ですが、実務では預貯金と不動産がメインです。
この預貯金や不動産等の責任財産が債務者にあるか?まず、これを突き止める必要があるのです。
債権回収実務では、この責任財産を確保することが全てです。
(予め、担保や保証人を取っていれば、そこから回収に着手するので責任財産を突き止めるという手間を一先ず省けます)。
いくら裁判をして勝訴判決を得ても、差押えることのできる責任財産がなければ、判決書は紙切れそのものです。
実務ではまず、徹底的に債務者の責任財産を探し出します。
しかし、残念なことに貸したお金を返せない状況において、債務者の責任財産は皆無。と、いうケースが多いのが現実です。
そうなると、泣き寝入りするしかないのです。
(中には、不動産名義や有価証券の名義を計画的に変えて、財産を隠しているというケースもあります。その場合は詐害行為として、名義書換えは取消しの対象になりますが、詐害行為取消権の行使は必ず裁判で行う必要があり、更に詐害行為の立証は非常にハードルが高く、費用も時間も相当かかります。)。
では、運良く債務者の責任財産を発見した場合ですが、まず、裁判所に仮差押えの申立てをし、保全命令を発令してもらいます(民事保全法20条1項)。
注意点は、仮差押命令の発令について債権者は、裁判所に、契約書などで債権の存在をある程度証明できることが必要であり、かつ、請求額の10%?15%の担保を積まなければいけません。
そして、仮差押え命令が発令させると、債務者の預貯金であれば口座が凍結され、不動産であれば仮差押えの登記がされるので、債務者が勝手に処分することができなくなります。
実務では、仮差押えをした段階で債務者がびっくりして任意に支払ってくれることが多いです。むしろ、それを期待して仮差押えする事の方が多いです。
仮差押えをしても、任意に支払ってくれない場合は、訴訟をして勝訴すれば仮差押えをし保全した財産を差押えて債権を回収します。
このように、債権回収は、保全(民事保全)→訴訟(民事訴訟)→執行(民事執行)というプロセスを経ます。
当然ながら時間も費用も手間をかかります。
以上のように、お金の無い債務者から債権を回収するのは、とにかく大変なのです。

お金を貸してくれ!と頼んで来る人の「絶対返すから」と言葉は「絶対返さないから」という意味です。
1番重要なことは、お金は貸すな!と、言うことに尽きます。
余談ですが、僕は昔、債権回収の仕事をしていました。
債権回収の現場は現場で様々な人間ドラマがあります。
債務者は見事なまでに平気でリアリティ溢れる嘘をつきまくります。強迫もしてきます。
とにかく払いたく無い債務者から、どう支払ってもらうか?まさに心理戦です。
この話は、またいつか機会があれば書こうと思います。
最後までお読み頂き、有難うございました。

近年、労働問題が深刻化しており労働法関連は、毎年大きな改正が行われています。

Q. 財務に深刻なダメージを与える3つの問題とは

近年、労働問題が深刻化しており労働法関連は、毎年大きな改正が行われています。

A. 「株主」「労働」「税務」の問題は財務に深刻なイメージを与えます。

財務に深刻なダメージを与える問題が、「株主問題」「労働問題」「税務問題」です。
特に、近年、労働問題が深刻化しており労働法関連は、毎年大きな改正が行われています。
直近では、2023年から勤怠管理に関連する法改正が施行されます。
従来の労働基準法では、月60時間以下の時間外労働の場合だと割増賃金率が25%以上、月60時間超だと50%以上と定められていました。
これは大企業に適用されており、中小企業では猶予措置がとられ、月60時間以下でも月60時間超でも25%以上となっていたのです。
それが、2023年4月にはこの猶予措置が終了し、月60時間超の時間外労働においては割増率が50%以上に引き上げとなります。
これに伴い、今後、企業では勤怠管理が非常に重要となってきます。
特に残業代請求は、大手の弁護士事務所がビジネス化しており、非常にお手軽に依頼しやすくなっています。

また、昨今、パワハラやセクハラへの意識も高まり、2020年6月1日より改正労働施策総合推進法が施行されました。
この法律は、職場内のパワハラを防止する規定が盛り込まれていることから、パワハラ防止法と呼ばれています。
大企業は2020年6月1日から、中小企業は2022年4月1日から施行とされています。
パワハラ防止のほか、セクハラ・マタハラを防止する関連法も合わせて施行されており、企業は各ハラスメント対策を講じる必要があります。

このように今後は、労働問題が紛争化し企業財務に与えるリスクが高まっています。
コメント欄に東京都の割増賃金の資料のリンクを貼ってあります。
分かりやすい資料なので、経営者への情報提供ツールとしてご活用下さい。
また、厚労省の職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)のリンクも貼っておきますので参考にして下さい

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その他の労基法パンフレットはこちら

Q. 連絡の取れない株主を、会社から追い出すことはできますか?

行方不明の株主のことを、所在不明株主と言います。

A. 裁判所に申立てを行えば、所在不明株主の株式を売却することができます。

所在不明株主とは、株主名簿に記録された住所または通知先に宛てて発した通知または催告が 5年以上継続して到達せず、かつ、継続して5年以上配当金を受領していない株主をいいます。
会社は、裁判所に申立てをし、一定の手続きを経て所在不明株主の株式を売却することができ、売却された株主は株主としての権利を失います。
ここで重要なことは、株式を売却されてもその売却代金は所在不明株主のものなので、消滅時効が完成する期間経過までは、(基本的には、売却の時から10年間)は、所在不明株主は会社に対し、売却代金の請求をすることが可能です。

もう一度、所在不明株主の要件を確認します。
株主名簿に記録された住所または通知先に宛てて発した通知または催告が 「5年以上継続」して到達せず、かつ、継続して5年以上配当金を受領していない株主をいいます。
つまり、会社は、所在不明株主として、その株主の株主を売却するまでに、最低でも5年間は毎年通知を送り続け、宛先不明で返送された郵便を保管し続ける必要があります。
更に重要なのは、「5年以上継続」してです。
なので、途中どこかの年に催告し忘れるとカウンターリセットで、また最初から「5年以上継続」して催告しなければいけません。

次に、「5年以上継続」して催告して所在不明株主の要件を満たすと、次に裁判所に対して「所在不明株主の株式売却許可申立て」を行います。
申立て要件ですが、下記①~④の要件が備わったときは,株式会社は,裁判所の許可を得て,当該株式の売却の許可を求めることができます。
要件の詳細を覚える必要はなく、とにかく手続きがめんどくさい!ということを理解頂ければ大丈夫です。

  1. 対象株式が次のいずれにも該当すること(会社法197条1項1号,2号)
    対象株式の株主に対して、会社が株主に対してする通知又は催告が,5年以上継続して到達しない場合
  2. 対象株式が,競売以外の方法による売却を相当とし,かつ,市場価格のないものであること。
  3. 申立人が,対象株式の株主その他の利害関係人が一定の期間内(3か月を下ることができない。)に異議を述べることができる旨その他法務省令で定める事項を公告し,かつ,対象株式の株主に各別に催告したこと(会社法198条1項)。上記の期間内に利害関係人が異議を述べなかったこと
  4. 象株式の売却価格が相当であること。

これら①~④の要件が備わったときは,株式会社は,裁判所の許可を得て所在不明株主の株式を売却し、(多く場合、買主は、会社か、代表取締役個人が買います。)会社から所在不明株主を追い出すことができるのです。
所在不明株式の売却とは、視点を変えると、株主の株式の地位を一方的に奪って、お金に変えて会社から追い出すことになるとで、裁判所を入れて手続きを厳格にし、所在不明株主の利益を保護しているのです。
もし、所在不明株主の案件に遭遇した場合、所在不明株主を会社から追い出す制度はあるのですが、とにかく手続きが大変だ。と、いうことを経営者に伝えてあげて下さい。
最後までお読み頂き、有難うございました。

■事業承継・相続に関する知識

株主総会は、株式会社の最も重要な機関であり、会社の意思決定を行う最高機関

Q. 株主総会について教えてください。

株主総会って、そんなに重要なんですか?株主総会総会って何をするところですか?等々
会員さんからもよく質問を受けます。そこで、今回は、株主総会について解説を、させて頂きます。

A. 株主総会について規定した条文から解説します

まず、株主総会について規定した条文を見てみてましょう。

第295条 1項

株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。

ポイントは「一切の事項について決議をすることができる。」という部分。
つまり、株主総会は、株式会社の最も重要な機関であり、会社の意思決定を行う最高機関です。
にも関わらず、実は、会社法、会社法施行規則では、株主総会の「運営の方法(式次第)」について詳細な規定は置かれていないのです。
現場での実務慣行に従い実施されています。
そのため、経営権争いや株主総会開催の方法や運営方法を巡って裁判となりやすく、多くの判例が蓄積されてきた分野でもあります。
最近だと、OKストアの関西スーパーに対する買収劇です。
上場会社ですら、株主総会の議事運営を巡って、しばしば問題が生じます。
このケースは、株主総会の決議を巡って紛争に発展しています。
(コメント欄URL参照。)
中小企業においては、その殆どが実際に株主総会は開催されず、ただ登記用の書類として作成されているに過ぎない。という実情があります。
これは、多くの中小企業が同族経営なので、別に株主総会を開かなくても、問題は起こらないだろう。と、考えている経営者が多いからです。
僕も過去に、経営者から、
「うちは、小さい会社なんで、株主総会とか開かなくても大丈夫ですよ???♂?」
と、普通に言われたことがあります。
しかし、中小企業であったとしても法律上は、株主総会の開催が必要です。
100%株主であれば、大きな問題となることは多くありません。
一方で、株主が分散しているケースは要注意です。
株主間で対立が生じる可能性を秘めているからです。
一度株主と対立が生じてしまうと、過去の株主総会の不存在や手続き違反を問題にされ、株主権の行使合戦が繰り広げらるという事態に発展するのとがあります。
僕も、過去に株主の議題提案権、提案権、帳簿閲覧権の応酬が繰り広げられた案件に何件か関わりました。
前述の通り、実際に多くの中小企業で株主総会の開催は形骸化してしまっており、株主総会の決議無しに、利益相反取引(会社法356条)、多額の借財(362条4項)等、本来、株主総会決議が必要な事項を社長の独断で行ってしまっています。
なので、株主に法令違反を主張されると会社側は圧倒的に不利なのです。
株主と対立が生じ、紛争に発展すると裁判にならなくても、多額の費用と多くの時間が費やされるため、経営者としては本業に集中できず大きなストレスとります。
(会社側が防衛するため弁護士に頼むとあっという間に数百万は吹っ飛びます。
会社法関係に精通した弁護士はそう多くありません。なので、通常の弁護士よりも高いのが通常です。一方、株主側は権利を主張するだけなので、比較的安価です。)
ここからが、更に重要です!
この様に、株主との対立が生じるタイミングが、ズバリ事業承継対策を始めた時です。
それは、事業承継には、株式が移転が必然的に伴うからです。
株式を移転させるタイミングでは、それまで黙っていた少数株主たちが、自分の保有している株式がお金に変わると分かると、豹変するのです。
株式は平時には動かない。
だから、平時には、株主総会を開いていなくても問題が表面化することは殆どありません。
有事となると話は別です。
株式が動くということは、有事なのです。
逆にいうと、平時にしっかりと株主対策をすることで、将来の株主間紛争を防止できる可能性は格段に高くなります。
更に適正に作成された株主総会議事録は、その記載内容と相俟って、税務調査の際にも経費処理の適法性を補充する大きなエビデンスともなるのです。
ポイントは、
「株が動く時に事件が起こる」です。
なので、近い将来、会社の株式を動かす予定(大抵は事業承継)があれば、事前に慎重に準備を進める必要があります。
では、何を、どういう手順で確認するとスムーズに進むか?
ここも非常に、難しく、確認事項や手順を誤ると、後々まとまる話もまとまらなくなります。
何を、どういう手順で確認すると的確に現状把握できるのか?について、現在、まとめてますので改めて、共有させて頂きます。
最後までお読み頂き有難うございました。

『名義株』とは、真実の株主と、名義上の株主が異なる株式を言います。

Q. 事業承継時に名義株に生じる問題点を教えてください。

『名義株』とは、一般的に他人名義を借用し株式の引受け及び払込みがなされ、その結果、真実の株主と、名義上の株主が異なる株式を言います。(いわゆる名義貸し)

A. 名義株は会社設立の際に最低7名必要だった発起人の数合わせの名残

『名義株』とは、一般的に他人名義を借用し株式の引受け及び払込みがなされ、その結果、真実の株主と、名義上の株主が異なる株式を言います。
(いわゆる名義貸し)
背景として、平成2年改正前の旧商法規定により、会社設立に際して、最低7名以上の『発起人』が必要だった時代がありました。
つまり、株主が最初に7名以上いないと株式会社を設立出来なかったのです。
そのため、発起人である株主を確保するために、親族や従業員の名義貸与を受けて設立する事例が多く存在したのです。


そして、この名義株問題が、事業承継に際して、株式集約をする過程で問題となることが多いのです。
また、過去に行われた株式の贈与や売買により、株主構成に変更が生じたにも関わらず、株主名簿の書換えが適正に行われておらず、結果、名義上の株主と真実の株主が異なる事例も多くあります。
名義株主問題はズバリ、『真実の株主は誰か?』という問題と言えます。
実務においては、設立から数十年が経過し、実質的に株式の引受け及び払込みをした者が、特定できないケースが多く、例えば名義株主に相続が発生してたり、所在不明株主となっていたり、当初は名義株主との認識だったのに、時の経過と共に記憶が曖昧になり、真実の株主であるという認識に変わっていたりします。
そのため、真の株主は果たして誰か?という事を巡って紛争になることが多いのです。
実務上、『実質株主の認定基準』として、基準として大きく7つの観点から総合的に真実の株主か否かを、判断するとしています(東京地裁昭和57年3月30日)。

  1. 株式取得資金の拠出者
  2. 名義貸与者と名義借用者との関係及びその間の合意内容
  3. 株主取得の目的
  4. 取得後の利益配当金や新株の帰属状況
  5. 名義貸与者及び名義借用者と会社との関係
  6. 名義借りの理由の合理性
  7. 株主総会における議決権の取扱い及び行使状況

このように、実際に、名義株主か実質株主かの判断は、その具体的状況に大きく依存するため、解決には極めて多くの時間と費用がかかることになります。
名義株の解消は、早いに越したことがありません。
少数株主と名義株主問題は、事業承継を進める上で円滑な事業承継を阻害する非常に大きな問題となります。
そのため、事業承継支援をするにあたって「別表2」や「株主名簿」を確認し、株主構成を把握することが何よりも重要なのです。

最終順位で最後の相続放棄をした相続人が損をする可能性が高い?!

Q. 相続放棄における注意点について教えてください。

相続放棄をしようと考えています。注意点についてアドバイスお願いします。

A. 相続人が不在となった場合、相続財産は最終的には国庫に帰属する

まず、相続放棄によって相続人が不在となった場合、相続財産は最終的には国庫に帰属することが民法に規定されています(第959条)。
相続人全員が相続放棄をした場合、基本的には、最終順位で最後の相続放棄をした相続人が、家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申し立てをします(952条1項)
実務では、相続財産管理人を「ソウザイカン」と略したりします。
実は相続放棄をしても、「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」と定められています(民法940条)
そのため、最終順位で最後に相続放棄した相続人は、家庭裁判所対して、相続財産管理人の選任申し立てをし、相続財産管理人に相続財産を引き継がなければなりません。
そして、この相続財産管理人が、相続財産の後始末を行い、最後の最後まで処分できなかった財産が国庫に帰属するのです。
相続財産管理人は通常、弁護士を家庭裁判所が選任します。
そして、
何と!
相続財産管理人が引き継いだ相続財産を売却したり管理したりするための費用(相続財産管理人の報酬も含む)が必要になり、その費用を家庭裁判所に予納しなければいけません。
では、この相続財産管理人の選任申立て、いくら費用がかかるのか?
気になります。
相続財産の種類や総額にもよりますが、何と、数十万円?100万円程度の予納金を裁判所に納める必要があります。
更に、相続財産管理人の選任後、財産が最終的に処分されるまでは、最短で10ヶ月、通常は1年以上かかりますし、追加費用が発生する可能性もあります。
最終順位で最後の相続放棄をした相続人は当然、他の相続放棄をした相続人に求償していきますが、他の相続放棄した相続人からすると、そんな費用払いたくありません。
そのため、相続放棄をした人同士で揉めます。
残念ながら、最終順位で最後の相続放棄をした相続人が泣き寝入りする可能性が高いのです。
債務超過の会社のオーナー社長が亡くなり、全員が相続放棄した場合、株式が相続財産を構成していますので、しばしばこのような事態が想定されます。
このように、相続放棄には思わぬ落とし穴があるので注意が必要です。

■財務コンサルに必要な知識

借換提案を受けた企業からの相談について、助言した内容をシェアします

サブバンクからの融資一本化の提案に、融資額の1.5%の手数料がなぜ必要?

サブバンクから、メインバンク借換資金の提案を受けました。
プロパーと保証協会の証書貸付をそれぞれ「おまとめ」して新たな証書貸付(10年)へ切り替えましょう!という内容。これにより、毎月の約定返済が大幅に下がる。
「返済額軽減はありがたいのだが、融資額の1.5%とある手数料がなぜ必要なのか分かりません・・・」という質問。

銀行は金利(利息)でなく、手数料がほしい?!

■借入期間5年に対する利息は、毎年少しずつ銀行の収益となります。一方、手数料は初年度の収益となります。ここで重要なのは、支店長の任期は何年か?ということです。約2年です・・・。ですから、利息ですと未来の収益は次の支店長の手柄となります。よって未来の利息よりも、今貰える手数料がほしいのです。担当者も同じです。また、今年の支店業績が足りない場合、手数料でないと即効性がなく、穴を埋められません・・・。そんな金融機関の事情があるのです。

<ストラクチャリング手数料とは何か?>
■ストラクチャードファイナンス(通称ストファイ)と呼ばれる融資は、非常に組成が難しく、特殊な融資を指します。通常の融資ではカバーできないような企業のニーズに応える融資ともいえます。一般的な金銭消費貸借契約ではカバーできないため、契約書も一から作成します。このような業務が非常に煩雑であるため、手数料が発生するものです。通常は、この手数料を支払っても、企業は特殊な融資が利用できるため、メリットがあるのです。シンジケートローンもストファイみたいなものです。

<手数料が発生する融資が流行り?>
■ストラクチャードファイナンスは都銀に始まり、現在では地銀でも取り組みが始まっています(信金はまだ少ないです)。この流れから、「類似融資で手数料を稼ぐ」という悪しき流行があります。組成手数料だとか、「コベナンツ手数料」などと言われています。※コベナンツというのは特殊条項であり、複雑な条件といえます。よってストファイの一部です。
■本来、ストファイというのは難しい融資に対して「組成手数料」が発生するのですが、多くの銀行で「たいして難しくもない融資をストファイとして、手数料を徴求する」という姿がみえます。これはよくありません・・・。

<今回の融資について>
■融資内容・・・〇〇銀行の借り換え資金 「何も難しい部分がない…」※CF改善は良い事
■手数料が必要な融資か?・・・全く必要なし

<手数料がかからない融資とする方法>
■正しい銀行に対して「適正資金調達」の依頼を行う
■適正資金調達・・・BSの運用(資産)に見合った、正しい借り方に直すこと
例)全て長期借入となっている融資を、
①正常運転資金は、短期継続融資という返済不要な融資へ
②有形固定資産見合いの融資は、残りの償却期間等に合わせた返済期間に
③現預金見合いの融資は、当座貸越や10年程度の長期借入に
以上に変更することで、返済額を妥当な金額とします

<対応すべきこと>
■銀行に対しては「どのような組成を行い、(手数料に見合った)どのような価値を提供いただけますか?」と質問してください。
■本件により返済額が下がることは良い事です。しかし、本来はBSに見合った根拠ある融資提案を行うべきです。返済額が下がるから、この提案は良い提案というのは素人です。
■今回の融資により〇〇銀行との取引が消え、▲▲銀行の融資が増えます。大切なのは、メインバンクとなるのか?なった場合、どのような支援をするつもりなのか?ということが大切なのです。訴えるべきは、「そこ」であり、返済額が下がるからいいだろう、などという提案ではダメです。
■目先の融資など本当にどちらでもいいのです!適正な融資方法などこちらでいくらでも作れます。それよりも大切なのは「該当企業とどのような関係を築き、どのような未来を一緒に歩んでいくか?リレーションシップバンキングの考えを持っているかどうか?」です。その「姿勢」があるのか無いのか?企業は返済額軽減を、銀行は手数料を稼ごうという目先の付き合いでは全く話になりません。バンクフォーメーションを該当企業としっかり話し合うことが重要と思います。

事業改善をしていく中で、コロナ融資を短期継続融資に借り換えしようと計画しています。

Q:コロナ融資の借換について

事業改善をしていく中で、コロナ融資を短期継続融資に借り換えしようと計画しています。
このような考え方を持った銀行は存在ますか? それとも基本的に不可能でしょうか?

A. 借換することは可能と考えますが・・・

借換することは可能です。可能ですが、その気があるか?といいますと、あまり無いはずです。
「短期継続融資」=手間がかかる+昔の融資で勉強していない行員はよく知らない という背景から、「国が用意した最高の制度融資(コロナ)を借り換えるってどういうこと???」と考えるはずです。

銀行にとっても100%保証されるが、金利はまずまずというコロナ融資は最高です!
このように考えますと、コロナ融資を短期継続融資に切り替える妥当性を見つけるのは難しく、

  1. コロナ融資を残して、他の融資を短期継続融資に切り替える(特にプロパーの証貸)
  2. 経営改善への取組みと現金損益の重要性、その中でリレバンとしての役割を期待する旨を丁寧に長期間説明し、十分納得が得れるように相当配慮する

このように対応してくのがいいと思います。

実はこの科目は結構見受けられます。

Q.「債務免除益」という勘定科目を知っていますか?

ある会社の決算に「債務免除益」という勘定がありました。見慣れない勘定なのですがどんな内容でしょうか?(債務免除益は特別利益の項目に登場します)

A.実はこの科目は結構あります。

<以下のように発生します>

1
会社が社長に役員報酬を払うことを決める

しかし儲かってないので(報酬は発生しているが)社長には支払っていない。

2
つまり、支払っていない報酬は「役員からの借入金」となる

(つまり、未払金)

3
赤字となった年に、利益の穴埋めとして「役員からの借入金を免除する」

(社長は未払の役員報酬を放棄する)

4
会社にとって「借入の免除は利益となる」

(社長に対する債務(負債)が無くなるので、同額が利益となる)


こんなところです。これは経営者や会社にとって、

  • 赤字の年に利益補填に使える
  • お金に余裕ができたら、現金を法人から個人へ移動(借入金の返済)できる

などというメリットのようなものがあります。
このように利益や現金の調整に使えることから、「便利だと思っている」経営者が多いです。保険をこのよう使うケースと似ています。
確かに、利益が調整できるのは便利ですが、 「法人・個人一体のガバナンスのない企業」として認識されますし、「足りないから調整する」という考え自体が「それなりの企業」にとっては社会的評価を下げる原因となります。個人の財布と法人の財布が一緒という感じです。経営者保証ガイドラインなどの考え方とは反対ですね。
個人事業に毛が生えた程度ですといいですが、一定の規模になりましたら考え方を変えてもらいましょう!

役員借入金は経営者が亡くなった際、経営者の相続財産に組み込まれ、相続税の課税対象となります。

Q. 役員借入金と相続の関係について

会社が、経営者からお金を借りる、いわゆる「役員借入金」。実は、この役員借入、経営者が亡くなった際、経営者の相続財産に組み込まれ、相続税の課税対象となるのです。

A. 役員借入は、相続税の課税対象となります。

会社が、経営者からお金を借りる、いわゆる「役員借入金」。
実は、この役員借入、経営者が亡くなった際、経営者の相続財産に組み込まれ、相続税の課税対象となるのです。
会社が通常、資金調達をする先はまず金融機関です。
つまり、役員借入金が発生する状況とは、会社の財務体質が悪く金融機関からの資金調達が困難な場合です。
と、いうことは、その役員借入金は、会社からすると実質的に返済する目処が経たない債務であり、経営者からすると返済される見込みのない債権つまり潜在的な不良債権なわけです。
殆どの場合、債権としての価値がない。
これが実態かと思います。
そうであるにも関わらず、
「役員借入金」は経営者に相続が発生した場合にプラス財産として相続財産を構成します。
更に、この「役員借入金」は相続税法上、額面評価されます。
重要なポイントが、時価評価ではなく、簿価評価されるのです。
仮に、会社が債務超過の陥っており、自社株評価がゼロであるにも関わらず、役員借入金は全額相続財産を構成してしまいます。
役員借入金が存在する場合、生前にしっかりと対策をしておく必要があります。
最後に、中小企業の事業承継支援の正しい手順は、「相続→事業承継」の順番ではなく、「事業承継→相続」が本来あるべき順番ですね??
(貸付金債権の評価)
204参照

■財務コンサル入門

成功の要因は「勤勉努力】と「実践継続」に尽きます!

Q. 成果の出ている会員さんの共通点とは

会員さんにインタビューさせて頂き、成果の出ている会員さんの共通点を整理しました。

Q. 勤勉努力と実践継続

2つ成功要因
【勤勉努力】
→手段。再受講の徹底(年間最低4回の財務基礎講座の再受講)
 成果が出ている人の共通点。
・再受講を繰り返している。
・SHE本講座への毎月参加。
・スケジュールの優先順位として、SHE受講  
 の優先度が高い。
 成果が出てない塾生の共通点。
・再受講をしていない。または、再受講回数が2回。
・SHE本講座に毎月参加していない。
・SHE参加のよりも出先のアポ。誘惑に負ける。つまり、決めて、やれない。

【実践継続】
→手段。勉強会、セミナーの開催。
 成果が出いる人の共通点。
 ・自分の継続した勉強会を持っている。
・再受講、SHE本講座の参加を徹底するから知識が定着し、自分の言葉で話せるようになる。
自分の言葉で話せるから、自信を持って、勉強会、セミナーを開催できる。
成果が出てない人の共通点。
・再受講をしていない。または、SHE本講座に毎月参加していない。
そのため、知識が定着せず自分の言葉で話せない。自信がないから勉強会を開催でいない。
・知識が定着していないから、自信がなく社長に会えない。
とにかく再受講が重要だ!
と、言うことが多くの会員さんをインタビューした結果判明しました。
また、財務基礎講座の内容は毎回ブラッシュアップされています。
再受講の度に新たな発見があるかと思います!参考になれば嬉しいです。

財務診断は健康診断と似たものと考えれば自ずとやるべきことが見えてきます。

Q. 決算書を預かってきました。まずどのように対応すればいいでしょうか?

経営者にアプローチして決算書を入手しました。この先、どのような手順で進めたらよいかわかりません。

A.健康診断と思ってください。

私は健康診断と財務診断を似たものとして表現します。 自社の健康状態がわからないと、どの薬を飲んでいいのか?どんな治療をしたらいいのかわからないですよね?それと同じです。
よって、まずは健康診断と思ってください。

財務コンサルの大まかな手順

1
BS①~⑤+αを分析する

α:現金損益、銀行格付、債務償還年数、平均金利・・・等

2
現状を把握する

財務は良いのか?悪いのか?

3
現状把握に対して、他者から良いと評価されているのか?悪いと評価されているのか?

銀行格付けや平均金利で

4
解決策を考える

事業改善の話ではなく、単純にどの数字がどのような数字になればいいのか?

経営者が行う行動に対して、数字で示すことが財務コンサルタントの役割です。 現在の状態を数字で表す 未来への取り組みを数字で予想する。それだけです。

「あれもこれも」と色々と手を付けて散らかってしまうことが多いです。
逆に、まずは「数字で経営を明らかにする」ことだけに専念した方が、思考が整理できて良いですね。