実はこの科目は結構見受けられます。

Q.「債務免除益」という勘定科目を知っていますか?

ある会社の決算に「債務免除益」という勘定がありました。見慣れない勘定なのですがどんな内容でしょうか?(債務免除益は特別利益の項目に登場します)

A.実はこの科目は結構あります。

<以下のように発生します>

1
会社が社長に役員報酬を払うことを決める

しかし儲かってないので(報酬は発生しているが)社長には支払っていない。

2
つまり、支払っていない報酬は「役員からの借入金」となる

(つまり、未払金)

3
赤字となった年に、利益の穴埋めとして「役員からの借入金を免除する」

(社長は未払の役員報酬を放棄する)

4
会社にとって「借入の免除は利益となる」

(社長に対する債務(負債)が無くなるので、同額が利益となる)


こんなところです。これは経営者や会社にとって、

  • 赤字の年に利益補填に使える
  • お金に余裕ができたら、現金を法人から個人へ移動(借入金の返済)できる

などというメリットのようなものがあります。
このように利益や現金の調整に使えることから、「便利だと思っている」経営者が多いです。保険をこのよう使うケースと似ています。
確かに、利益が調整できるのは便利ですが、 「法人・個人一体のガバナンスのない企業」として認識されますし、「足りないから調整する」という考え自体が「それなりの企業」にとっては社会的評価を下げる原因となります。個人の財布と法人の財布が一緒という感じです。経営者保証ガイドラインなどの考え方とは反対ですね。
個人事業に毛が生えた程度ですといいですが、一定の規模になりましたら考え方を変えてもらいましょう!