目次
いきなり衝撃的な話から始まった――。
小林さん
トップセールスマンは幸せじゃない!
西野
いきなり! 面白いですね。どうしてですか。
小林さん
だって保険を売ることしか考えてないじゃん。
西野
保険を売るのが仕事では?
小林さん
SHEのメンバーはコンサル的な考え方をして、お客様に継続をして中小企業を元気にすることを使命とするよう五島さんが教育しているけど、保険会社の一社専属だったら保険を売ることしかないでしょ。
西野
五島さんから学んでいないと、ただただ自分のために保険を売るわけですね。
小林さん
一番売れた奴がトップ。一番売れない奴がビリ。すべてが比較されてずーっとランキングされて。
西野
ですね。
小林さん
資本主義社会だからすべて比較。売れる奴が良くて、売れない奴は駄目、みたいな社会が作られてるじゃん。
西野
小林さん、何かすごいことを話してますね。
小林さん
経営者側からしたら、それでいいんだよ。いろんな問題が出てくるかも知れないけど、競争社会だからそれでいいのかもしれない。でも、人としてあるべき、あり方の問題として考えていくと、個として幸せかどうか。
西野
みんな見ない振りをしている核心を小林さんは突いてますね。
小林さん
何のためにこの世に生を受けたのか。何をすべきなのか。保険屋なんかやってる場合じゃないんじゃないかという人もいるかもしれないでしょ。
西野
保険屋をやってる場合じゃないと
小林さん
保険屋になるために生まれてきたわけじゃないからさ。たまたま職業選択の1つとして選んだのであって。金稼ぐために生まれてきたわけでもないと思うんだよね。
西野
うっ。根源的な問いかけです。
小林さん
まず、個としてのあり方をどう捉えていくか。もう50半ばを過ぎると考えていかないと駄目なんじゃない? 遅すぎるんじゃないの? そういうことがベースにあって、自分の人生をこうしたいと。
西野
よく分かります。
小林さん
魂のブループリントという言葉があるんだけどさ、人がおぎゃーと生まれるとき、神様に許可されてこの世に生を受けるからさ。やるべきことがあって、神様が地球に送り込んできたわけでしょ。なのに、何をすべきか分からないまま人生を終わる人がほとんどだと思うんだよね。何のために生まれてきたのか突き詰めて考えていって、その価値に生きる人は幸せだと思うんだ。
西野
息をするのを忘れて聞いています。
目の前にニンジンをぶら下げられて走り出す人と拒絶反応を示す人がいます。
目の前にニンジンをぶら下げられて走り出す人と拒絶反応を示す人がいます。
小林さん
それは仕方ないじゃない。仕組みがそうなってるから。フルコミなんで。
西野
そこを分からずに来ては駄目?
小林さん
それが自分の価値観に合ってるならいいけど、単に挙績をあげるとかチャンピオンになるとか売らなきゃならい、ではね。お金は稼いだけど、健康なくしちゃった、ではね。
西野
健康はお金で買えません。
小林さん
本人は幸せか分かんないけど、端から見てると全然幸せそうに見えないね、という人がいっぱいいるじゃん。支社長にも、億単位稼ぐLPにも。
西野
この業界はお金という唯一の価値観で動いてます。
小林さん
資本主義社会だから仕方ない。
西野
その資本主義社会でも極端ですよね。
小林さん
まぁ、入ってくるものが大きいからね。
西野
売らないと食っていけないし、フェードアウトしたらお客さんにものすごく失礼なことになってしまって顔を合わせられなくなる状況に追い詰められていくわけで、凄まじいなと。どうすれば幸せになれます?
小林さん
この業界で幸せという人いっぱいいるかもしれないよ。でも、本来の自分が生きる価値観はどこにあるかということをちゃんと気づかないと。。
西野
価値観はお金。
小林さん
お金を稼ぐことで幸せになる人っていない。それって物欲の世界でしかないから。
西野
物欲は底なし沼です。
小林さん
自分の人生をどう生きるかってあり方の問題で、まぁ一般的に言うと幸せになることが1つの価値判断だけど、その価値観って人それぞれ違うわけじゃん。お金持ってる人が必ずしも幸せになってないことがいっぱいあるでしょ。事業承継だって相続だって。そうでしょ?
西野
相続が争族になるってのは典型ですね。
小林さん
物々交換は面倒だから貨幣で価値を交換するそのお金に振り回されてるわけ。ビジネスそのものがそう。
西野
おっかねえ話です。
小林さん
ブータンだっけ、最貧国でも国民が幸せを感じてる国って。
西野
国民の95パーセント以上が「私は幸せ」と答える国がブータンです。
小林さん
それは、ブータンの国民の価値観が違うわけでしょ。アメリカなどの先進国はお金に支配さてれるけど、ブータンは違うってこと。日本だってお金なくても幸せを感じて生活している人はたくさんいる。なのに何かお金をたくさん持ってるほうがえらい、すごい、みたいなさ。
西野
「成り金」とか「銭ゲバ」とか「武士は食わねど高楊枝」とか言って、あからさまな金儲けを蔑む文化が日本にはありました。
小林さん
トランプさんが出てきて「アメリカ・ファースト」とか言って自国主義になったじゃん。それまではグローバル社会でみんなが協力する社会ができていたのに、彼が出てきてまた閉鎖的な社会になってるわけでしょ。でも、日本国民はそういうのどちらかというと合わないと思うんだよね。
西野
小林さんの白熱教室、続きます。
小林さん
アメリカ人は「アメリカンドリーム」だから、自分でのし上がらないと駄目だし、ヨーロッパはヨーロッパで――。
西野
もともと階級社会ですよね。
小林さん
昔の時代に戻ってきてる。自国さえ良ければと。分かち合うとか富の再配分とかもしない。米国も貧困とアッパーの乖離が構造的問題になってる。
西野
日本では大塚家具が分かりやすい例です。低価格路線なのに売れない。一方でお父さんが立ち上げた高価格路線の店では良く売れてる。
小林さん
中間がなくなってきてる。
西野
商売をするなら富裕層狙いですね。
小林さん
そうねー。でも富裕層って幸せなの?って思うけどね。
西野
そんなことを思う小林さんがなぜ生命保険業界に?
小林さん
そんなこと思うようになったのは最近のことだよ。
西野
考え方が変わってきたんですか。
小林さん
そんなこと最初から考えてたらこの世界にいないと思うよ。それこそ最初から介護の世界とかさ。
西野
私最初から考えてたから。
小林さん
だって西ちゃん合わないもん(笑い)。
西野
見事に合わない(笑い)。
小林さん
俺はヤマっ気があるから。アメフトやってたし。一発勝負してやろうと思って来たわけだよ。
西野
何年の入社ですか?
小林さん
1993年の10月。
西野
NECから何で外資系金融機関に?
小林さん
アメフトつながりなんだよ。外資系金融機関のLPから営業所長になりたての人に声をかけられて。「J大のキャプテンやってました」って言うんだよ。でも当時はJ大は2部か3部だから、1部にいた我々からすると全く知らない。でもアメフトなら仕方ないですねと。
西野
体育会系ならではの連帯感。
小林さん
その人がすごいのは行動力。思ったことを猪突猛進する人だから。視野狭いけど、思ったところにガッと行く。ビルの下から電話してきてね。営業だったから外にいるんだけど、たまたまその日は会社にいて。15時ごろで、ちょうど休もうと思ってた時間だったから、隣にあったホテルに話を聞きに行った。
西野
運命の扉が開いた瞬間ですね。
小林さん
支社長と役員に面接されてケチョンケチョンに言われたんだけどね。
西野
何でまた?
小林さん
「感受性がない」とかさ、ボロクソに言われたよ。でも、あとから見ると、体育会系だからケチョンケチョンに言われて「じゃあいいです」と言って逃げる奴は見込みないということだろうね。反骨精神で頑張る奴を採ってたんだなと。
西野
今で言う圧迫面接ですね(笑い)。
小林さん
(笑い)。ボロクソ言われたよ。でも合格しましたよと言われて、じゃあ行きますよと(笑い)。
西野
あっさりと(笑い)。
小林さん
まぁ感受性なかったし。
西野
ボロクソを受け止める感受性があったらこの業界に来なかったかもしれませんね。
小林さん
大学に入ってからアメフト始めたんだけど、体ちっちゃかったし、でも当時は自分が一番になりたいと思ってて。レギュラーにならないと面白くない。控え選手じゃ面白くない。だから、レギュラーになるために一生懸命練習したし、運よくレギュラーになるわけだけど、今度は日本一になりたい。明治大からNECに行ったのは日本一になりたかったから。人を蹴落としてでも日本一になりたかったわけよ。
西野
スポーツで強い人は性格悪いんです。球技なんかだと相手が受け止められないところに球を返すんですから。バドミントンもテニスも、相手が返せないところに打ちますからね。
最初は個人保険から?
最初は個人保険から?
小林さん
入社時の約束は「2年間は1日も休まない」と。正月3が日は休んだけどね。親戚に保険売るのイヤだったから(笑い)。「正月は親戚が集まるんだからそこで商談しろ」とか言われたけど、「そんなことできねーよ」と思って、一応正月の3日間くらいは休んだけど、2年間は約束どおり。体力もあるし、駆けずり回ったよね。
西野
身内は?
小林さん
親やきょうだい、嫁さんにはやったけど、身内に売るのはイヤだったから、それ以外の身内には何も。嫁さんの兄貴も(自分から保険に)入ってないし、保険の話は未だにしたことがないし。
西野
ではどうやって?
小林さん
初月から紹介だよ。結局この仕事でスタートのときに駄目になる人は、近しい人のところに行って断られてる。そうすると、メンタルブロックになるから、それでつぶれていってる人がいっぱいいる。
西野
そういうことですか!
小林さん
友達をなくすとか言われるけど、「それだけで友達なくすんなら本当の友達じゃなかったんだからそれでいいんじゃないかな」と今だったら思えるんだけど、そのときはそうは思えないじゃん。
西野
本当の友達でなくても断られるたびに痛いですよ。殺したろかと思う奴が私には1人います。
小林さん
NECの仲間からスタートしたけど、初月から紹介でいこうと思ってたから。たまたま俺の親友がいたんで、そいつに転職前に「こういう気持ちで転職することにしたんで、11月になったら売れるから紹介してくれ」と。「じゃあ来い」と言われて会社に行って、きちんとした応接室で朝から晩までずーっと座って、順番に来てもらう。で、15分のアプローチをして、プレゼンして。
西野
その友達っていったい何者ですか?
小林さん
高校のときの同級生。一番の親友だよ。
西野
え? でも仕事時間中にその友人は職場の人に「次お前応接室に行ってこい」とやってくれたんですか!
小林さん
そうそう。
西野
そうそうって(笑い)。めちゃくちゃすごい友人ですね!
小林さん
そいつも親分肌だから。
西野
そういう力のある人がいないと駄目ですよねぇ。
小林さん
でも時代が良かったから。予定率6パーセントだし。3000万の終身と定期付き終身がほぼ同じ保険料だよ。それを比較したら誰でも売れる。
西野
そんなに簡単でした?
小林さん
そのころは時代がめちゃくちゃいいんだよ。比較で売れるから。「こんないいものに何で入らないんですか」ってお客さんみんなが言うんだから。20代とかの若い人は2万ちょっとで3000万の終身に入れたんだよ。6パーセントだからね。で、紹介を回りきれなくて、積み残した。今なんか紹介全く出ないけどさ。
西野
時代もよかったんですね。
小林さん
いや、時代がよかった。
西野
それがどうして個人保険をやめることに?
小林さん
俺の強みは何かというと真面目さだから。コツコツやろうと思ったことをコツコツやれるんだよ。これは人に一番自慢できるところ。自慢できるのこれくらいしかないけどさ。
西野
あ、でも、コツコツが最も大事ですよね。継続は力なり、ですもん。
小林さん
アメフトもそうで、素人なのに明治大時代は1日10時間くらいグラウンドにいたけど苦じゃなかったもんね。練習も好きなんだよ。勉強するのも好きなんだよ。結果だけ求めるんじゃなくて、過程自体が好きなんだよね。好きだという感覚じゃないんだけど、やってて苦じゃないし、続けることができちゃう。それで気づいたら力がついてる。
西野
恵まれた資質です。
小林さん
あのころ、アプローチシートがあって、相手はサラリーマンだからすべて同じじゃん。最初のアプローチ、ファクトファインディング、プレゼンテーション、できる設計の形、出てくる保険の形……。ほとんどみんな一緒でしょ。だからもう飽きちゃったんだよね。2年間やりすぎたよ。2年目は5Wで250件くらい個人保険だけでやった。
西野
えー!
小林さん
2年経って3Wも65週くらいで切って。3Wやるための3Wになっちゃったからもういいやと。コツコツやるんだけど、人と違うことをやりたくなった。で、法人に行こうと。もともとヤマっ気があるから。
西野
ヤマっ気がむくむくと。
小林さん
でも知り合いに社長が一人もいなかった。入社して5年間は1件も法人保険なかったんだよ。入社5年目のころ、俺が法人シフトで右往左往しているとき、2歳半の次男が脳腫瘍だと分かって。1年くらいほとんど仕事にならなくて。
小林さん
法人マーケットには行きたかった。なぜかというと、先輩たちが期末にAP3000万とか何千万とかドカドカ入れてくるわけだよ。個人保険やってて疲れちゃって飽きてたから、先輩たちを見てると「いいなー」って。
西野
ですよね。
小林さん
もともとヤマっ気があるから。そっちのほうに行きたいと思ってマーケットチェンジを試行錯誤するけど結局中途半端になるわけよ。
西野
何でですか?
小林さん
法人の勉強はしなくちゃなんない。でも、そのころはまだ(外資系金融機関に)入ったばっかりだったから、挙績がないとミーティングで会社はうるさいわけ。だから数字をつくらなきゃいけないとなると、どうしても個人保険に戻るじゃん。売れるから。
西野
あー、そうなると……。
小林さん
ある程度個人保険で数字ができちゃうと、安心しちゃって法人やらないとか、そういう中途半端な時期に子供が病気だと分かったから、「もう個人保険やらない。法人保険だけにする」と。
西野
それで法人保険に完全に舵を切ったんですか。
小林さん
子供は入院してるから、土日は仕事したくないし、夜も病院に行かなきゃならない。個人保険売ってたら土日も夜も仕事をしてなきゃいけない。それで「昼間できる仕事にしよう。だったら法人しかない」と。そのときは仕事ができないからMDRTに1回だけ入れなかった。そのころセミナーをやろうとして――。
西野
セミナー営業ですね。
小林さん
たまたま山梨だったんだけど、山梨でセミナーをやろうと。住宅とか高級車とか自分から買いに行くじゃん。保険も自ら買いに行く人がいるんじゃないかと思ったわけよ。
西野
すごい見方をしましたね。
小林さん
逆選択と言われるのは個人の話であって、法人のニーズは絶対あるんじゃないかと思って、それでセミナーをやろうと。
西野
目のつけどころがすごい。
小林さん
神田昌典さんがセミナーセールスと言う前からやってるからね。
西野
ファクスDMですね。
小林さん
ファクスDMという言葉が出る前、1999年秋くらいからやってんだから。
西野
小林さん先駆者じゃないですか。
小林さん
俺がコンサルの立場でそういうマーケティングを教えてたら神田昌典さんみたいになってたかもしれない(笑い)。でも俺は保険を売ることしか考えてない。保険売れればいいわけだからさ。
西野
何で山梨で?
小林さん
不動産屋の企画から転職してきた後輩がいてさ。そいつが全く売れないわけよ。「お前どうすんの? 時間もったいないから、このままいるのか。辞めるんだったら早く辞めるほうがいいと思う」と言ったら「自分もそう思います」と。でもそいつは辞めないでいたわけ。
西野
迷ってたのかな。
小林さん
俺はセミナーをやろうと思ってて。その後輩に「普通に紹介をもらって行って売れないんなら、このマーケティングを一緒にやって、それでも売れなければ辞めろ」と。「俺はまだ入ったばかりだから辞めるわけにはいかないけど」と。
西野
そこまで言ってくれる先輩は貴重かも。
小林さん
そいつは企画が好きなんだよ。結局営業マンじゃないわけよ。デベロッパーの企画だからさ。俺はパワーポイントができなかったから、そいつに「パワポできるか」って聞いたら「できる」と。「じゃあ俺が考えたコンテンツを、こういう流れでセミナー資料を作ってくれ」と。最初個人向けに作ったの。
西野
法人向けではなく?
小林さん
個人向けの普通のアプローチをパワポにしただけなんだけどさ。そのころちょうどメルマガが世に出たころで、俺の知り合いがメルマガ発行会社をやってて、5000円出すと「こういうセミナーがありますよ」と載せてくれる。
西野
メルマガ広告ですか。今では当たり前ですが、メルマガが出始めたころなら最先端を走ってましたね。
小林さん
どれくらいセミナーセールスができるのか試そうと思って個人向けにやったのよ。そしたらけっこう来たんだよ。それで練習して。個人なんか失敗してもいいと思ってたけど、契約取れたよ。これで取れるんなら法人向けにやりゃいいんだと。で、法人版作って。そいつのお客さんがたまたま山梨の社長だった。
西野
山梨ではどうやって集客を?
小林さん
ファクスDMをやろうと思ったんだけどデータ買うのにお金がかかるじゃん。そいつに言ったら「山梨の社長は顔が広いから集めてくれますよ」「じゃ話してみて」「何十社も集めることができると言われた」「じゃやろう」。で、当日。来たの2人。
西野
2人(笑い)。寒い(笑い)。
小林さん
その社長と社長の税理士(笑い)。駄目だこりゃ(笑い)。
西野
次行ってみよう。
小林さん
データを買ってファクスした。それから毎月1回、54回やったよ。
西野
54回も! 対象は?
小林さん
金融や保険、代理店は外して、決算前3カ月のところ。平均すると毎月毎月700社くらいかな。
西野
そんなに。
小林さん
例えば今なら今月(6月)決算の会社と7月8月の決算の会社に送る。で、7月になったら、6月決算の会社を外して、7月8月9月の決算の会社に送る。
西野
反応はどうでした。千三つ(1000送っても反応は3)?
小林さん
いや、もっと。
西野
反応よかったんですか?
小林さん
だって誰もやってないんだもの。54回でのべ300人の経営者が来たよ。2~3人が2回来たけど、ほとんどが新規。
西野
効果めちゃくちゃありましたね。
小林さん
あった。
西野
何をしゃべったんですか?
小林さん
「この手があったか。強い会社をつくる戦略的保険活用法」
西野
ど真ん中。
小林さん
どんぴしゃり保険だから。だって、保険に興味ある人は必ずいると思ってるから。決算対策したいとか、退職金つくりたいとか、福利厚生やりたいとか、節税したいとか、絶対にいると思った。
西野
読みが当たった。
小林さん
個人保険でクロージングが一番できるのは誕生日の前の日じゃん。「あれ? 西野さん、あした誕生日ですよ。今日やっておかないと、あしたになったらこれだけ(保険料が)違いますよ。これを何十年もかけてったら、いくら違うんですか」って。
西野
あ、そうですそうです。
小林さん
法人は決算だよね。社長の誕生日もあるけどそれ以上に決算。
西野
でも今だとそのタイトルでセミナーをするのは難しい?
小林さん
その当時は何のつてがなくてもファクスで経営者が来たけど、だんだんだんだん反応は悪くなるよね。ほかの人もやり始めたから。そのころ神田昌典さんがファクスDMで稼いでいたから、みんな「セミナーだ」となって。そうなるとセミナー案内のファクスがたくさん会社に届く。
西野
埋もれてしまいますね。
小林さん
でも、山梨はそのときのベースが今も生きてるって感じだよね。
西野
小林さんは考えて行動してますね。
小林さん
やるかやなないか迷ったら、やる。
西野
やっぱりマーケティングが重要?
小林さん
そのころは何も考えてないよね。
西野
そうですか(笑い)。
小林さん
今だったらジョイントじゃん。客を持ってるところとジョイントしてお互いにシェアするのがいいよね。リストはあるけどマーケティングできてないところと組んで、「一緒にセミナーをやりませんか」と。
西野
ファクスDMで法人保険を扱うようになって手数料は増えました?
小林さん
そりゃ増えるでしょ。というか、勉強する時間ができるし、遊ぶ時間もできるし。収入も増えるけど、あくせくしなくていい。個人保険ばかりやって体を壊す人がいっぱいいるけどさ。法人保険は体壊さない。
西野
左うちわ?
小林さん
にはならないけど、法人保険をやってよかったなと思う。
西野
そのあとは?
小林さん
プライベートバンカーから紹介してもらった。
西野
どこで出会ったんですか?
小林さん
何だっけ? 忘れちゃった。うーん。思い出せねぇな。
西野
紹介されるのは経営者?
小林さん
もちろん。
西野
マージンを返す?
小林さん
最初だけ返した。彼らのお客さんを紹介してくれってスタンスだったから、彼らのメリットはお金しかないじゃん。あまり彼らのプラスにならない。もともと彼らのお客さんだからさ。
西野
山梨の社長たちを紹介するとか?
小林さん
プライベートバンカーが持ってる客のレベルが違うから。
西野
へー!
小林さん
日本のプライベートバンカーはプライベートバンカーじゃないからね。資産運用の証券マンだから(笑い)。
西野
士業からの紹介は?
小林さん
基本的に弁護士嫌い、士業も嫌い。税理士からの紹介はない。社労士の先生から紹介してもらったのは何件かあるけどね。
西野
プライベートバンカーのあと富裕層営業塾?
小林さん
そうそう。
西野
私が小林さんと出会ったのがあの富裕層営業塾でした。何で参加したんですか?
小林さん
五島さんの名前は昔から知ってたんだ。2005年か2006年ごろに東京の市ヶ谷でエフピーステージの名前で五島さんがセミナーをやったときに俺聞きに行って。
西野
小林さんが五島さんと出会ったのは2005年ごろまでさかのぼるんですね。
小林さん
のちに大坪さんの企画で富裕層営業塾をやると知って。
西野
確か2009年か2010年です。
小林さん
「五島さんがやるんだ」と飛びついた。「五島さんはすごい」と言われていたしね。それで参加した。
西野
あのときの富裕層営業塾は説明会がありましたが、小林さんは説明会に行きました?
小林さん
行ってないと思う。
西野
何でですか?
小林さん
富裕層営業塾で五島さんがメイン講師だと知った時点で、この業界で五島さんはすごい人だからノウハウを盗みたかった。五島さんはどんなやり方をしてこれだけの挙績をあげているのかと。その考え方や価値観を含めて全部盗みたかった。
西野
それなら説明会に行くまでもないわけですね。
小林さん
個人保険に戻りたくないし。個人の保全ずっとやらなきゃいけないの大変じゃん。そのことも考えていくと、自分のライフプランナー人生としては50歳くらいになったとき、家に行って個人保険を売りたくないと思ったわけよ。イメージとしてね
西野
いつごろそんなイメージを抱いたんですか?
小林さん
最初の2年くらいやって疲れちゃったときに。
西野
五島さんの継続貢献営業という考え方は鉄板だと私は思っています。
小林さん
うん。継続貢献営業はすごい、素晴らしい考え方で、俺は今年10月でライフプランナー歴丸26年が終わるんだけど、過去を振り返ると社長たちに貢献してるんだよね。
西野
なんと。
小林さん
財務の貢献とかじゃないよ。五島さんも最初のころはビジネスマッチングとか、社長の困りごとに「任せてください。何とかしますから」とかやってたでしょ。形はいろいろあるけど、社長に貢献してるんだよ。そういう企業は追加もたくさんある。
西野
貢献がキモ?
小林さん
になると思う。
西野
五島さんは近年財務コンサルでの貢献を教えていますが、小林さんは?
小林さん
財務コンサルはいっぱいやってるよ。報告してないだけで。
西野
例えば?
小林さん
この前やった調達再編では毎月の返済額が1100万円から130万円にまで落ちた。既存の取引行でね。
西野
どうやって?
小林さん
こういう風にやったら借り換えできると思うから一緒に資料を作りましょうと社長に言って。
西野
どんな知識と技術で?
小林さん
俺の中心はもともと未来会計があるわけよ。
西野
日本BCP協会の講座ですね。
小林さん
そう、BCP。山田先生がやってるあの未来会計。昔からマネジメントゲームのインストラクターの資格を取って開催したりしているから、あの箱の使い方はよく分かってるわけ。それを山田先生のBCPで再確認して。だから俺は未来会計を中心にやるわけ。
西野
小林さんは確か日本BCP協会の講座の1期生です。
小林さん
調達再編って外科手術だからさ。借入返済を、経常運転資金とそれ以外の設備運転資金を長くするという形にして、現在のPL上のキャッシュフローの中に何とか収めてくださいよって。これが既存行でできなかったらきらぼし銀行さんとか山梨中央銀行さんとか呼んできて、「できませんか」って交渉するわけじゃん。
西野
はい。
小林さん
でも、それができるようになっても、やっとキャッシュフローの範囲内に入っただけであって。がんを取ったなら、次にまたがんができないように体力アップをどうするか。それを未来会計でやってるわけよ。だからエフピーステージが提供した資料で、未来会計が入った経営継続計画書を使ってる。
西野
勉強熱心ですね。
小林さん
未来会計を使ってどこにどう手を打てば利益が出るか、というところをやらないと。調達再編してコンサル契約をもらって、アドバイスをして結果を出せるところまでできたらいいなと思うよね。
西野
調達再編で終わりではない。
小林さん
調達再編できましたよと言っても、キャッシュフローの範囲の中でできたわけだから、PLをもっとよくするために、どこにどう手を打ちますか、というのをやらないと。でもまだ俺もそこまでやってない。3月に調達再編したばかりだから。
西野
長いお付き合い、継続貢献営業ですね。
小林さん
未来会計を使ってPLを崩して、現金損益が足りてる足りてないという比較は、自分用にエクセルで作ってあるんだけどさ。未来会計のあの箱の形をコンサルシートにして、社長に理解してもらうわけ。
西野
小林さんは外資系金融機関の所属だからコンサル料は。
小林さん
全くない。
西野
「コンサル会社に頼むと何十万円もコンサル費がかかりますが、私は無料です」とアピールすると石黒さんから聞きました。
小林さん
自分から言うんだ(笑い)。俺は言わない(笑い)。「いくら払えばいいんですか?」といつも言われるけど、「いらない」「もらえないですもん」って。
西野
でも保険の契約になれば。
小林さん
そういうケースもあるし、そうなってないところもある。
西野
スゴ腕の小林さんが?
小林さん
だって調達再編できてからでないと保険を換えられないじゃん。時間がかかる。
西野
数カ月以上?
小林さん
既存行だったら、一遍にすぐにできるとも限らないから。
西野
自分の首を絞めることになるから?
小林さん
というかね、それだけドラスティックにやる社長は少ないと思うんだよね。ほかの銀行を持ってっても、既存行との付き合いがあるから。
西野
なんと。
小林さん
石岡さんから紹介されたきらぼし銀行の人に会って、毎月の返済額が4300万から300万になる案を出してきてくれたから、それをぶつけたよ。
西野
すごい改善になりますね。
小林さん
その社長も分かってはいるんだけど、「最初から全部ガラガラポンはできないね」と。
西野
律儀というか義理がたいというか。既存行とのこれまでのお付き合いを大事にするんですね。そういう経営者、人間的な魅力はあります。
小林さん
3億円くらいの短コロで借りて、そこから少しずつ変えていく。一遍にできればキャッシュフローがよくなるから、保険も、ってなるけどさ。
西野
普通なら飛びつきますよね。
小林さん
と思ったけど、よく考えたらキャッシュフローが回らない会社の調達再編をやっても、キャッシュフローが回る程度になるだけだから、そんなに大きな保険に入れないと思う。
西野
債務保証は。
小林さん
でもさ、今の流れは連帯債務保証を取らない。きらぼしさんが出してきた案では連帯債務保証いらないって。在庫と受取手形が担保でいいですって。おいおい、保険売れねぇじゃないかよ(笑い)。
西野
国の方針ですもんね。
小林さん
まぁしょうがないよね。銀行がそれでいいと言ってんだから。連帯債務保証のところはこれからニードがなくなっていくよ。保険には入ると思うけど、なかなかね。
西野
キャッシュフローが回ってない会社に終身保険は難しいです。
小林さん
現金損益がもともと合ってないのに、またキャッシュアウトする保険に入りますかってことでしょ。
西野
一社専属だからコンサル料もらえないし。
小林さん
一時払い終身保険がないんだよ外資系金融機関は。売るものないじゃん。
西野
小林さんはBM実践会(戦略法人保険営業塾の前身)時代から見ると最古参会員の1人です。1~2年でやめる会員もいるのですが、なぜ小林さんはやめないんですか? 変な質問ですけど。
小林さん
基本的に五島さんのこと好きだから。
西野
人間が?
小林さん
そうそう。市ヶ谷でやったセミナーを聞きに行ったとき「この人すげーな」と思ったわけよ。それで富裕層営業塾を知って「これはチャンスだ」と思って。
西野
チャンスとは?
小林さん
五島さんが何をやってるか知るチャンスじゃん。で、ちゃんと教えてくれるわけだから。シー(SHE)も同じようなことをやってんだけど、参加すると気づきがあるわけよ。1つでも気づきがあったらいいんだよ。3時間受けたときに「そうかそうか、こう考えればいいな」とか「こういうアプローチにしたらまたちょっと変わるかもしれない」とか、そういうのが1つや2つあるんだよ。それがあればいい。
西野
参加する意識や考え方が積極的ですね。今後もやめない?
小林さん
基本的に五島さんが好きだっていうベースがあるから、やめようと思ったことないし。ただ、木曜金曜はいろんなイベントが入ってるから時々出席できなくなる。
西野
そういう人のために収録映像をお送りしているので、あとで見てください。
小林さんは勉強熱心です。
小林さんは勉強熱心です。
小林さん
外資系金融機関のマイスターと言って、自分の同僚たちにタダで教えているわけよ。未来会計を中心に自分で資料を作り込んで。5年もやってるもんね。今は30人くらい。ジブラルタの奴も来てる。
西野
タダなんですね。
小林さん
あとは帝国データバンク。マイスターで後輩たちに教えているものを経営者向けにアレンジした資料を自分で作って1年やってきて、いま2年目。これもどっちかというと未来会計中心かな。もちろん現金損益の話もさせてもらってるし、株価の計算はエフピーステージのやつを使わせてもらってる。あれは自分で作れない。
西野
小林さんはベテランです。保険営業ができなくて苦しんでいる人にアドバイスを。
小林さん
ん? この仕事やりたくないんじゃない? 聞いてみ。
西野
驚天動地の指摘です。
小林さん
別にこの仕事やらなくていいんだよ。
西野
確かにそうですね。でも地方に住む女性は仕事自体がありません。
小林さん
女性? 地方の女性は保険屋やったほうがいいよ。
西野
そうなんですか?!
小林さん
何でやらないの?
西野
えっ?
小林さん
そういう人こそここに来て勉強して体系立って理解したら絶対売れるじゃん。男にできないことがあるんだよ。
西野
男にできないこと?
伏せ字にした部分、どうしましょう。例えば、小林さんはシー(SHE=戦略法人保険営業塾)とSHE実践研究会に来てますから、そこで小林さんに直接聞いてくださいという告知をメルマガでやっていいですか?
伏せ字にした部分、どうしましょう。例えば、小林さんはシー(SHE=戦略法人保険営業塾)とSHE実践研究会に来てますから、そこで小林さんに直接聞いてくださいという告知をメルマガでやっていいですか?
小林さん
(大爆笑)
西野
会場に来た会員さんが「小林さんどこにいますか?」って叫ぶとか。
小林さん
女性が寄って来ちゃうじゃん(笑い)
西野
いいじゃないですか(笑い)。
小林さん
でもね、保険屋が若い女の子で、社長が俺たちくらいの年代(50代後半)だったら、逆に奥さんがヤキモチやくんだ。
西野
あ、そうか。
小林さん
でしょ。だから、先に奥さんと仲良くなって、「あ、こういう人なんだ」と。「危険はないな」とかさ。先に理解してもらっておいてから。
西野
そのほうが話は早いかも。
小林さん
先に奥さんっての、俺たちはできないんだよ。「何やってんだお前は」と。それこそ社長に切られちゃうから。
西野
女性こそ法人保険営業!
小林さん
財務の知識もひととおり分かって、保険も理解して、あとはそこの共感を生むところで???????????????。
西野
男が社長との間で共感を生むのは難しい?
小林さん
そんなことはない。それは違う。多くのケースで間違ってるのは、財務とかの切り口という刀を手に入れたらそればっかり振り回そうとしちゃうこと。
西野
学んだら嬉しくなってすぐに役に立ちたいと思うのが普通では?
小林さん
特に法人保険は「連帯債務保証です。3億短コロであるから4億5000万入ってください」と言って、入ってもらったらそれで終わっちゃうからさ。論理を用いて論理に訴えることになっちゃうわけよ。
西野
コンサル料をいただけない一社専属は特にそうですね。
小林さん
個人保険をちゃんとやってきた人は論理を用いて感情に訴えてるわけ。人と人のお付き合いだからさ。共感しないと。
西野
人間社会、仕事でもプライベートでも共感は大事です。
小林さん
共感がないと本当の意味で継続貢献営業になっていかない。「新しい情報持ってきますね」「ありがとう。でもこれこの前税理士が言ってたわ」みたいになっちゃう。
西野
つれないわぁ。
小林さん
社長と心と心がつながっている状態でこそ継続貢献営業は成り立つと俺は思ってるけどね。
西野
あー、そうだ。五島さんが大きな成果を出し続けたとき相手の社長を心服させています。
小林さん
「任せてください」ではなく、「お前に保険のことは全部任せる」と言わせたら勝ちなんだよ。でね、ここでしか教えていないすごい“武器”を手にした人の中にはビギナーズラックがあるわけよ。行動が早いやつは結果がけっこう出るからさ。だけど、多くのやつがそこだけになって、あとからクレームが入る。
西野
ところで小林さんは五島さんのどういうところが好きなんですか?
小林さん
何なんだろうなぁ。五島さんは繊細なんだけど、繊細だからこそ気づくことがたくさんあるじゃん。そういうところもいいし。
西野
五島さんは高感度センサーを持ってます。五島さんはたぶん全く自覚してないはずですが、頭の中でシャッターを押して、その場の様子や人を高画質の画像にして、頭の中のメモリーに残すんです。
小林さん
シー(SHE=戦略法人保険営業塾)の財務基礎講座でまず財務の基礎を教えて、本講座では五島さんがいま現場でやっているものをそのままアウトプットして持ってきてるから、すごくいい。自分がやっているものをどんどん見せてくれるのは信頼度が高くなるじゃん。机上の空論じゃなく、自分はこれをやってこうです、と。
西野
法人保険のトップ営業マンが何を考え、何をどうしているのか、試行錯誤を含めて手の内を全部見せます。
小林さん
あとはまぁ、外の人にはあんまり見せないのかもしれないけど、やさしいところがたくさんある。うちの息子が亡くなったとき、わざわざうちまでお線香を上げに来てくれたり、とかさ。暑い中わざわざ来てくれて。
西野
初めて知りました。
小林さん
五島さんは先頭を走って、現場の生の声をシーで披露してくれるわけじゃない? あとはどれだけついて来られるか。レベルが高いから。
西野
忙しい小林さんがSHE実践研究会に参加していますね。
小林さん
4月からね。
西野
実践を十分積んできたのでは?
小林さん
違う。何で実践研究会に出てるかっていうと、いろんな業種の決算書をたくさん見たいんだよ。
西野
五島さんが言う「数稽古」ですか。
小林さん
俺が付き合っているお客さんの決算書はずっと見てるから分かるじゃん。「この業種はこういう感じになるのか」とかさ。
西野
見慣れますよね。
小林さん
何かの業種に特化したコンサルはそれはそれで強いんだけど、特化してないコンサルはいろんな業種の決算書を見て「製造業ならこんな感じになってる」とか「創業間もない企業は絶対こうなる」とか分かるじゃん。そういうコンサルなら、「社長、過去見た決算書はこうなっていたから、こうかもしれないですよ。このまま放置したらこうなるんじゃないですか」とかアドバイスできる。
西野
どんな業種にも対応できるようにしようと。それにしても努力を努力と思わず積み上げてきますね。
小林さん
それが強みだから(笑い)。
西野
いい話をお聞きできました。
小林さん
そんなんでメルマガできるの(笑い)?
西野
できるんです(笑い)。
-おわり-