今回ご登場いただくのは保険営業マンではない。相続事業承継診断士講座の講師を務める税理士法人アイユーコンサルティング副代表・出川裕基税理士(33歳)だ。「なぜ出川先生が?」と疑問を抱いたあなたの答えは、これからのインタビューで明らかになる。

(1)始まりは新聞勧誘

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西野
大学時代に読売新聞の勧誘、いわゆる拡張のアルバイトをしていたそうですね。
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出川裕基税理士
大学1年、18歳のときに始めました。
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西野
なぜ読売新聞の拡張を?
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出川裕基税理士
大新聞勧誘は基本的におじさんたちがやっていますが、読売新聞の場合、子会社が学生のバイトを使っていて、大学の友人に「儲かるからやりなよ」と紹介されたのがきっかけです。
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西野
新聞拡張は難しいとは思わなかったんですか。
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出川裕基税理士
はい(笑い)。
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西野
軽やかですね(笑い)。
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出川裕基税理士
失敗しても死ぬわけではないので。
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西野
そういうふうに考えることができる人は強いと思います。
事前のトレーニングはありましたか。
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出川裕基税理士
何もないです。1日の流れをビデオで見せられただけです。
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西野
新聞勧誘はどこでやるんですか。場所は毎回異なる?
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出川裕基税理士
毎日違います。たまに出張で北海道に行ったり名古屋に行ったり、大阪にも行ったかな。
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西野
えーっ!
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出川裕基税理士
みんな大学生なので半分遊びです(笑い)。
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西野
仕事はどんな流れですか。
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出川裕基税理士
販売店に集合して、その販売店主と大学生のリーダーが、それぞれの勧誘の範囲を決めます。集まるのは5人で、みんな大学生です。
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西野
何時の集合ですか。
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出川裕基税理士
12時です。それから20時までですが、16時ごろまでは時間を潰していました。だって、13時や14時は共働きの人は家にいませんから。
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西野
あっ、そういうことですか。確かに効率を考えると、12時から回ると体力を消耗してしまいます。

(2)効果を試す

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西野
一軒一軒ピンポンするんですか。
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出川裕基税理士
そうです。普通に「はじめまして。読売新聞です」と。
学生アルバイトというとあじさんよりハードルが低いですし、奨学金で頑張っているというイメージもあるかもしれません。
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西野
営業スタイルは自分で決めるんですか。
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出川裕基税理士
それぞれ自分のやり方でやっていました。無理矢理取るやり方もあります。「いいじゃないですか。取ってくださいよ」とこっちが強く出て。
そのやり方はカツカンとか言ってました。
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西野
カツカン? 恐喝の「カツ」に勧誘の「カン」を合わせた(笑い)?
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出川裕基税理士
そういうのもやって、どのやり方が効果が大きいかを試しました。
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西野
そこですね! 頭がカタいと、1つ決めてそれで一直線に進もうとしてしまいがちです。一番取りやすかった方法はどれですか。
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出川裕基税理士
奥さんの話を聞くように持って行くやり方です。

(3)自分の話をしない

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西野
どんなことを意識して話すんですか。
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出川裕基税理士
当たるときと外れるときがありますが、玄関は比較的開くので、自分の話をしないようスイッチしました。
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西野
相手に話してもらうんですね。例えばどんなふうに話を持って行きましたか。
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出川裕基税理士
子供がいる家庭が多いので、子供の話にスイッチしていくんです。例えば高校生や大学生くらいの子供がいそうだと思ったら受験の話をしてみたり、「自分はこういう大学に行っているんですが、どの大学を狙っているんですか」と聞いてみたり。相手の年齢に応じて。相手がお父さんだったら「どんなお仕事をなさっているんですか」と聞いたり。
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西野
すると相手がしゃべり出す?
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出川裕基税理士
そうです。もちろんこのやり方が合う人と合わない人がいると思います。当時はかわいい顔をしていたので、話しやすそうに笑顔を絶やさないよう意識していたと思います。コワモテの人が同じやり方をしても相手には通じないかもしれません。
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西野
相手からどう見られるかをよく考えていたということですか。
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出川裕基税理士
そこまでではありませんが、笑顔は意識していました。昔はかわいかったので。
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西野
いやいや、今も十分チャーミングです(笑い)。ところで、相手に話してもらっている途中で「新聞を取ってください」という話に戻さなければなりませんよね。
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出川裕基税理士
はい。でも、相手から「新聞勧誘でしょ。取ってあげる」という話になったんです。
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西野
理想的な流れです。
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出川裕基税理士
そう考えると面白いですよね。保険と同じです。

(4)断トツの成果というハードル

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西野
保険と同じというのはどういう意味ですか。
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出川裕基税理士
保険営業マンのキャッシュポイントは保険しかありませんから、財務という価値提供の対価として保険に入ってくれるお客さんがいっぱいいると思うんです。
保険に入らないとその保険営業マンがいなくなるから困る、という存在になることができるかどうか。
今思えば、私の場合は御用聞きというか、お話を聞いて、その対価として新聞を取ってもらえたのです。
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西野
話を聞くのが大変なこともあったのではないですか。
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出川裕基税理士
宗教の話が一番しんどかったです。いっぱいいました。
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西野
勧誘されるんですか。
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出川裕基税理士
そうです。
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西野
何と言ってその場を切り抜けるんですか。
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出川裕基税理士
しばらく聞きますが、もうそれ以上は。宗教の人からの新聞(機関紙)の購読のご依頼は取らないようにしていました。
こちらが嘘の住所を言う人もいましたが、そういう嘘はつきたくなかったので。彼らには彼らの信じるものがあって、いいと思って売ってくるので。
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西野
宗教ですもんね。
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出川裕基税理士
基本的にいい人ではありますし。そういう人を裏切るのはいやでした。
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西野
出川先生のお人柄が垣間見えます。ところで新聞勧誘はいつまで続けたんですか。
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出川裕基税理士
大学をやめるまでやってました。自分に合ってたんでしょうね。実際新聞勧誘のアルバイトをやめる人はすごく多くて。でも、残る人は優秀な人たちで、そんな人たちに出会えるのも面白し、話すのも面白いし。みんないい企業に就職していきました。
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西野
新聞勧誘で鍛えられましたか。
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出川裕基税理士
はい。まず、読売新聞社の子会社の上司に気に入られる必要がありました。販売店にはいい店もあれば悪い店もあって。
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西野
いい店と悪い店?
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出川裕基税理士
新聞契約ができる人ばかり集める店と、新聞契約が全くできない人ばかりを集める店があるのです。どの店に行かせるかという采配をするのが子会社の上司なんです。
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西野
成果を出すためには、いい販売店で勧誘するほうがいいわけですよね。
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出川裕基税理士
ところが、まず悪い販売店でほかの人より断トツの成果を上げるというハードルがありました。それをやると目に留まります。そのあとも、どうすれば彼(子会社の上司)を喜ばせるかという辺りに考えをシフトして、気に入られるといい販売店に行きますし、悪い販売店でも彼が責められない程度の成果を上げないといけないので。
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西野
そこまで考えるんですか!

(5)残る人はみんな考えていた

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出川裕基税理士
新聞勧誘は個人プレーなんですが、個人プレーではない面もあります。
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西野
どういうことですか。
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出川裕基税理士
5人くらいで1つのチームを組みます。上司が見るのは1人の成果ではなく、チーム全体としての成果なので、自分以外の4人にどうしっかり数字を上げさせるかということも考えてこなければいけません。
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西野
出川先生がリーダーとして全体を見るわけですね。
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出川裕基税理士
私が一番取れるので、しんどい店なら全員の合計数をみんなで平等に分けたり。
社会主義的なやり方ですが(笑い)。そうすれば、ほかの人に迷惑をかけないようにしなければとみんな頑張るものです。
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西野
対お客さんだけではなく、チームの人間の心理まで考えるわけですね。
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出川裕基税理士
そうやって仲間意識をつくったり、いろんなことを考えて、ある程度の成果を上げないと残ることができないんです。残る人はみんな考えていたはずです。
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西野
学生アルバイトとはいえけっこう厳しいですね。保険営業マンに似ているところがあります。
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出川裕基税理士
今思うと一緒ですね。たまにリーダーで入ると、その日だけで数千円もらえて、1位を取ると3万円くらいもらえるんですが、そのお金で「じゃあみんなで飯を食いにいくか」と使うほうがいい。今後も一緒にやることがありますし、評判の問題もありますし。
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西野
お金の使い方は大事です。
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出川裕基税理士
あとあと返ってきますから。麻雀などが非常に強い人と一緒に遊ぶとボロ負けするので嫌なのですが、彼が引っ張ってくれることもありますから付き合ったり。
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西野
新聞勧誘という仕事から考えた「営業」とは何でしょうか。
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出川裕基税理士
考えてやるもの。一人でやるものじゃない。この2つでしょうね。

(6)売れない人は

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西野
こなした数は大事ですか。
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出川裕基税理士
初めは真面目にやりました。勝手が分からないうちは全部しっかりと。
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西野
自分の型ができてくると?
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出川裕基税理士
サボり癖が(笑い)。
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西野
サボっても優秀な成果を上げていたのですから、すごいことです。
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出川裕基税理士
私は税理士試験の勉強と並行してやっていたので週2回でしたが、週7回やっている人もいました。稼げる人は月に100万円くらい稼げるので。そのまま就職してしまう人や大学を出てもこれで飯を食っている人もいたりして。
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西野
稼げる人は何が違うんですか。
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出川裕基税理士
2種類ありました。私は普通の中のトップでした。でも絶対に勝てない人が2~3人いて、彼らが何をやっているのか一切誰にも言わないので。天才というか。
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西野
稼げない人は何が原因でしょう。
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出川裕基税理士
売れない人は考えていない、試行錯誤をしていないと思います。
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西野
保険営業マンに通じる話ですね。その後税理士になって、独立する前に就職したんですよね。何を考えていましたか。
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出川裕基税理士
出世のことしか考えていませんでした。

(7)嫌われることの耐性

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西野
就職したのは何歳ですか。
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出川裕基税理士
22歳です。
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西野
若いですね。どんな仕事ぶりでしたか。
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出川裕基税理士
初めは勉強や残業を相当しました。営業に出るまでに3~4年あるので、仕事に没頭しました。残業時間は一番多い月で200時間ありました。
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西野
残業が200時間! ほとんど職場で過ごした感じですね。
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出川裕基税理士
そうです。徹夜はしょっちゅうでした。人の倍の仕事をしていましたから、たくさん仕事をして、たくさんの上司と出会いました。
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西野
上司から頼りにされたのではありませんか。
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出川裕基税理士
いえ、上司からは嫌われていたはずです(笑い)。税理士業界で22歳は圧倒的に若いので、鼻につく存在だったでしょう。「何も知らんガキが調子のってんな」という感じで見られていたと思います。
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西野
意外に逆風ですね。
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出川裕基税理士
しかも何も教えてくれない事務所なので、大勢が辞めていきます。私は9年ほど勤めましたが、同期50人のうち残っていたのは1人でした。それくらい辞めていくのです。
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西野
そんな事務所で最後まで残ったんですね。
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出川裕基税理士
何も教えてくれない事務所なので、上司のAさんから与えられた仕事をAさんに聞くことができません。そこでBさんやCさんに聞かなければならない。BさんやCさんに教えてもらうためにどんな関係を築けばいいか。税理士は嫌な奴が多いのですがその中でどうすればいいか。飲み会には積極的に出るなど工夫しました。
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西野
読売新聞の新聞勧誘アルバイトが役に立ったのではありませんか。
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出川裕基税理士
そうなんです。読売で学んだのは、ものおじしないことです。1万人以上に「はじめまして」と声をかけてきましたから、嫌われることに耐性がついていました。

(8)声をかける

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西野
教えてくれない社風(?)の中で、教えてくれる人をどう築いていったんですか。
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出川裕基税理士
まずこちらから与えることを意識していました。今の何も知らない22歳の自分にできるような雑用を積極的にしていました。
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西野
例えばどんなことですか。
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出川裕基税理士
「コピーを取ってきましょうか」とか「シュレッダーのゴミを捨ててきましょうか」とか。
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西野
自分から積極的に声をかけるんですね。
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出川裕基税理士
はい。声をかけます。黙ってやることはありませんね(笑い)。でも、朝早く出勤してみんなの机を拭いていたら、誰かが見たらしくて、「あいつが拭いてくれているらしいよ」と広まったことがありました。
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西野
なかなかできることではありません。そうやって毎日頑張っていたのに、なぜ辞めたんですか。
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出川裕基税理士
24歳か25歳のころからほぼひとり立ちして、営業を始めました。今やらせてもらっている相続事業承継診断士講座のようなことや事業承継などを全部一人でやっていたんです。ほかの人より断トツで早い年齢でそういうことをやっていて、27歳のときに事務所始まって以来最年少でマネジャーになりました。
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西野
出世街道まっしぐらですね。
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出川裕基税理士
すぐに抜かれましたが(笑い)。
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西野
(笑い)。しかし営業って何ですか。税理士事務所の営業、イメージが浮かびません。
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出川裕基税理士
その事務所は銀行の下請けなんです。銀行に営業して、銀行から得意先というか優良な中小企業を紹介してもらうのです。だから銀行に営業に行くんです。

(9)提供価値

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西野
銀行に営業に行く? 何をするんですか。イメージが浮かびません。
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出川裕基税理士
本店にも支店にも行きます。当時私が在籍していた事務所と銀行本部がアライアンス契約を結んでいて、銀行が私たちにお客さんを紹介して、こちらがお客さんと契約した金額の何割かをキックバックします。私たちがお客さんに直接営業することはありません。
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西野
しかし成果を上げるためには何かしたんですよね。
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出川裕基税理士
圧倒的にやりました。仕組みをお話しすると、1人が5~10の支店を担当します。「この支店はお前」と割り振られるのです。そこで、担当になった支店に営業に行きます。上がってきた案件は「この支店は出川が担当だから出川ね」と与えられます。
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西野
自分の仕事を増やすためにも銀行への営業が重要なのですね。
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出川裕基税理士
銀行がアライアンスを結んでいる事務所はほかにもたくさんあります。そんな中で選んでもらわなければなりません。となると、こちらから提供する何かがないとお話にならないのです。
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西野
五島さんが言う「提供価値」ですね。出川先生の提供価値は何でしたか。
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出川裕基税理士
まずは若さを“武器”にするしかありませんでした。例えば、圧倒的に駆けつける。伝言には即レスする。何かあれば手紙を送り、セミナーレジュメも圧倒的に送る。銀行員に対する勉強会も圧倒的にやりました。「フットワークが軽く、情報提供をいつでもしてくれる人」になったのです。そうすると、銀行からたくさんの仕事が来るようになりました。

(10)話し方教室に通った

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出川裕基税理士
銀行の支店ではセミナーをしましたが、どれだけお客さんが集まるか、どれだけ評価を得るか、これが支店の評価になるので、セミナーでの話し方などもめちゃくちゃ勉強しました。
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西野
話し方教室に通ったりしたのですか。
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出川裕基税理士
通いました。
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西野
そこまでやったのですか!
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出川裕基税理士
声の高さや話すペース、相手がどんな目をしていたら分かっていないかとか、重要なことはもう1回繰り返すとか、いろいろ学びました。
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西野
真剣に取り組んだ様子が伝わってきます。
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出川裕基税理士
話す相手の多くが中小企業の経営者で、話す内容は税務や事業承継ですから、特に事業承継は人が亡くなる前提の話なのであまり面白おかしく進めることはできませんでした。そういうのは今も苦手です(笑い)。
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西野
配慮が求められるのですね。
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出川裕基税理士
支店の同じくらいの年の人からは「相談しやすい人」のイメージがつき、セミナーの評価が高いとか案件につれて行っても成約率が高いとか印象づけて、ほかの税理士事務所よりうちの事務所が断然呼ばれるように、まずはしました。
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西野
ここで重要なことがあります。出川先生は「イメージ」や「印象」と控えめに語っていますが、成果を出したからこその「イメージ」や「印象」だということです。

(11)税理士が営業する

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西野
ところで今「まずは」とおっしゃいましたが、ということは「次は」があるんですね。
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出川裕基税理士
考え方で言いますと、銀行員には異動があります。その支店でどれだけ頑張っても異動があります。その行員の私に対する評価が高ければ、異動先の支店から「お宅の事務所の××さんではなく、出川さんに来てほしい」と指名をもらえる。そうすれば私がその支店にも行くことができるわけです。つまり私が担当できる営業エリアが広がるのです。
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西野
すごい。お客さんが勝手に出川先生を指名するわけですから、それまでの担当者は文句を言えません。
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出川裕基税理士
でも最終的には事務所のみんなから嫌われるんです(笑い)。やっかみがひどくなります。
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西野
そうなりますね。
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出川裕基税理士
くだらないですよね。「だったらあなたも営業の努力をすればいいじゃないですか」というような衝突はたびたびありました。
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西野
人は見た目で分からないものですが、それにしても軽やかで穏やかで優しそうな出川先生のイメージと全く違う話にびっくりしています。
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出川裕基税理士
営業成績は当然断トツになりますが、ほかの上司たちは自分のスタイルで偉そうにしていて文句だけ言うので、やっかみとしか思えませんでした。なので何とも思っていませんでした。それが27歳のころです。
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西野
税理士の出川先生に話を聞いていて驚いたことの1つが、税理士が営業をすることです。税理士という仕事と営業という仕事がつながるとは今の今まで思ったこともなかったので、本当に意外でした。
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出川裕基税理士
そうですね。私も就職するまではそうでした(笑い)。
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西野
営業したくないと思わなかったのですか。
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出川裕基税理士
思いました。新聞勧誘の営業をしまくって、「もう営業職はいやだ」ということで税理士を目指したといういきさつもありましたから。それなのに事務所に入ったら猛烈な営業で(笑い)。

(12)何をやるにも営業

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出川裕基税理士
でも、コミュニケーションは営業そのものですし、前の事務所は営業をしないとい生き残れない事務所で、今の税理士事務所も新規獲得ができないと生き残ることができませんから、何をやるにも営業なんだと学んだわけです。
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西野
仕事は営業に始まり営業に終わるのかもしれません。
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出川裕基税理士
新聞勧誘の経験がものすごく生きました。みんな頭でっかちで、それまでに営業なんかやってきていませんから、断られるだけでへこむし、ちょっと怒られるとへこむし、営業というベクトルで見るとみんなお話にならない(笑い)。うちの税理士法人アイユーコンサルティングが伸びているのは、税理士業界の中で圧倒的に営業ができるからだと思います。
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西野
出川先生が新聞勧誘のアルバイトをした読売新聞社は販売(営業)が滅法強い会社です。「(文字が印刷されていない)白紙でも売ってやる」と語った務臺(むたい)光雄さんは「販売の鬼」や「販売の神様」と言われていました。ではここで出川先生の独立の話に移りますが、なぜ独立しようと思ったのですか。
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出川裕基税理士
自分が駄目になると思ったのと、やりたい仕事ができないからです。
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西野
忙しすぎたのですか。
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出川裕基税理士
私たちにとって銀行がお客さんなので、銀行の言いなりの提案しかできないのです。「ぺんぺん草も生えないくらいやり尽くしてやった」と銀行員から言われたことがあって、それを聞いた瞬間「もう最悪だ」と。お客さんのことを何も考えていない。こんな奴らのために何で自分の知識を使ってお客さんを不幸にしなければいけないのかと思ったのです。このときの場面は今でも印象に残っています。27歳のときでした。

(13)中小企業のために

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出川裕基税理士
中小企業のために自分の知識を使いたいというのが独立のきっかけの一番の理由です。
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西野
独立に際して不安はありませんでしたか。
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出川裕基税理士
多少はありました(笑い)。前の事務所のような金看板もない状態で始めるわけですから、食っていけるのかなというのは当然多少はありました。
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西野
その一方で、厳しい営業経験をこなしてきた自信もあったのでしょう。
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出川裕基税理士
ありました。なので、一人でやるのではなく共同代表でやることにしたのです。不安はあるけれど、営業をすればめちゃくちゃ(お客さんが)できるとは思っていました。実際、税理士業界は初年度1000万円取れれば御の字だと言われている中で6000万円以上取れましたから。
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西野
それはすごい!
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出川裕基税理士
全然すごくありません。仕事が取れるということは、仕事をさばかなければならないのです。取れれば取れるほど労働倒産の悩みが出てきます。バックオフィスが必要になってきます。
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西野
戦場でどんどん先を行く部隊に対して食料や武器の後方支援がないと潰(つぶ)れてしまうのに似ていますね。それでアイユーコンサルティングを共同で始めたのですか。
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出川裕基税理士
私は副代表をしていますが、代表の彼は私より先に福岡で独立していて、ウマが合うので、「じゃあ一緒にやろうか」となりました。私はバックオフィスがほしかったのです。彼は彼で営業がものすごくできるので、福岡から東京に出たいと多少思っていました。しかし物理的に離れているし、彼が福岡を離れるわけにもいかず、そこで、お互いに口出しせずに、屋号を一緒にして仕事をしようというところから始めました。
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西野
アイユーコンサルティングの誕生ですね。そこから片っ端から飛び込み営業を。
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出川裕基税理士
やりましたね(笑い)。

(14)何とかしないと

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西野
具体的に教えてください。
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出川裕基税理士
3人で始めました。私と、前の事務所の部下だった男と、福岡のクライアントの娘さんを経理としてこちらにつけてもらって、この3人です。その時点で売上はゼロです。でも給料を払わなければなりません。
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西野
事務所を構えたら経費もかかりますよね。
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出川裕基税理士
そのとおりです。何とかしないとあかんという思いがありました。
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西野
そこで作戦を練ったのですね。
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出川裕基税理士
税理士業務を大きく分けると顧問業務や相続税申告、事業承継、成長支援などがありますが、私が当時できたのは顧問業務と相続税申告、事業承継の3つでした。しかし顧問業務では食っていけません。単価が安いのです。顧問業務を福岡でやるならいいのですが、東京で普通にやると食っていけないのです。
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西野
競合が多いからですか。
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出川裕基税理士
薄利多売になってしまって。東京で顧問業務で食っていくなら仕組みを考えなければなりません。例えば顧問料が年間50万円とすると、年収600~700万円の税理士では全然ペイしません。
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西野
労多くして功少なし、ということですね。
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出川裕基税理士
下請けを探して、利ざやというか仲介手数料というか、それでやっていくしかないので儲かりません。そんなことを私はしたいのではないので初めはやりませんでした。となると相続税申告か事業承継のどちらかですが、事業承継は難しい。ウェブではお客さんが来ませんし。
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西野
冷静に分析しています。
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出川裕基税理士
中小企業経営者を強くグリップしているのは誰かと考えると、当時考えたのは3者、税理士と金融機関、それに保険マンです。しかし始めたばかりの私に税理士が紹介してくれるわけがありませんし、金融機関との締結もない。保険マンの知り合いは当時まったくいません。事業承継は無理でした。
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西野
残ったのは相続税申告です。
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出川裕基税理士
前の事務所の時代は銀行経由しかなかったのでよく分かっていませんでしたから、相続税申告を受任する流れを考えました。亡くなった人を“川上”として“川下”まで調べていくと、まずは病院です。次が葬儀社。このあと年金事務所と役所、それから銀行と司法書士事務所と続きます。
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西野
リストアップして、あとはどこに営業に行くか、です。
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出川裕基税理士
まず病院への営業は不謹慎すぎて無理です。亡くなったあとご遺族に税理士を紹介してもらう、というのはちょっと……。次は葬儀社ですが、葬儀社への営業は当時の私にはできませんでした。年金事務所と役所は公的機関ですから無理です。こうして残ったのが金融機関と司法書士事務所だったのです。口座を凍結するために銀行に行く人は少し分かっている人で、分かっていない人は司法書士事務所に行きます。「亡くなったら相続相談」というような広告がいろんなところに出ていますから。最終的に司法書士事務所に営業に行こうと決めました。

(15)お菓子を持ってアポなし突撃

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西野
司法書士事務所にどんな営業をしましたか。
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出川裕基税理士
私の出身地である川越市(埼玉県)には西武新宿線と東武東上線が通っています。そのすべての駅の、すべての司法書士事務所を調べて、相続専門を謳(うた)う司法書士事務所を1つ1つピックアップして、お菓子を持って、私と長野(現アイユーコンサルティング東京事務所長)とアポなしで全部突撃しました。
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西野
お菓子を持って行ったのですか。
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出川裕基税理士
手土産も持たずに行くのはちょっと、と考えたのです。1つ3000円くらいだったと思います。
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西野
いきなりの訪問、どうでしたか。
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出川裕基税理士
皆さん意外に話をきちんと聞いてくれました。営業に来る税理士などいないので、興味を持って聞いてくれたのだと思います。その中で提携したのが5~6事務所ありました。3分の1くらい提携してくれたはずで、悪くない数字です。
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西野
同じ士業という安心感や信頼感もあったのではないでしょうか。
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出川裕基税理士
話を聞いてくれて、「ではとりあえず仕事を振ってみるか」という展開になったりしました。運がよかったのは、私は川越市の松山高校卒業なのですが、松山高校と川越高校は進学校として地元ではそれなりに有名で、川越高校卒業の人が独立開業していたり、知り合いではないけれど松山高校の先輩が独立開業していたりしたことです。
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西野
高校の話を出したのですか。
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出川裕基税理士
名刺にそういうのを全部書いていたので、それを見て「おお! 後輩か!」と話が膨らんだりするのです。
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西野
共通点ですね。
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出川裕基税理士
そうです。共通点を探すために名刺に書いたのです。そうすると、そこで仕事を振ってくれることもあり、初月から200万円以上の売上が立ちました。
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西野
すごい!
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出川裕基税理士
まぁ大丈夫だなと、とりあえず安心しました。これで2~3カ月は大丈夫だろうと安心したのです。だからといってその先どうなるかは分かりません。そこで2カ月目くらいから別の営業をどんどん始めていったのです。

(16)ギブアンドギブ

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西野
別の営業、ですか?
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出川裕基税理士
すごく泥臭いことをしました。近くの銀行を全部回って口座をつくりました。そこで支店長に会わせてもらって、勉強会を開かせてもらったりしてご縁を繋(つな)いだのが1つです。
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西野
そこまでやったんですか! 行動力がすごいです。2つめは何ですか。
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出川裕基税理士
とにかくいろんな人に会いたかったので片っ端から飲み会に行きました。
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西野
飲み会をどう探したのですか。「飲み会どこかでやってませんか?」と片っ端から声をかけていったとか?
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出川裕基税理士
そこが思い出せなくて(笑い)。フェイスブックなどを見て若手の士業の会などに全部顔を出したような気がします。独立したての人が集まるような会にもいろいろ行きました。週5は飲み会に行っていました。
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西野
週5! 体力勝負です。
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出川裕基税理士
1つの会で出会った人脈を別の会に紹介できますから。私はどんどん横に広げて、いろんな人に会って名刺を配りました。
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西野
名刺を配った人数に応じて仕事が広がりましたか。
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出川裕基税理士
仕事の規模は大きくはありませんでしたが、会えば会うだけ仕事は来ます。そこで大きく稼ごうとは思っていませんでした。相続が得意な税理士は少ないので、相続の案件はいろいろ来るのです。仕事にならない案件も来ます。例えば「おじさんが死んだんだけど、どうすればいいか分からない」とか。富裕層ではなくても相続の手続きは必要ですから、司法書士に案件を振るのです。
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西野
あっ!
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出川裕基税理士
ギブアンドギブです。与え続けることを1年間やりました。

(17)私の仕事の哲学

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西野
人間交差点ですね。
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出川裕基税理士
そういうことをし続けていると、業界紙の目に留まったりしました。でも転機は五島さんに出会ったことです。私の仕事の哲学は五島さんの軸で完全に固まっています。
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西野
エフピーステージは毎週ズーム会議をしているのですが、五島さんが口を酸っぱくして言っていたのが「利他の精神」です。出川先生の考え方と行動も、どうすれば相手の役に立つことができるかという思いでやってきた五島さんと重なります。
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出川裕基税理士
それまで言語化できず、ただただ行動していたのですが、五島さんと出会って言語化されたのだと思います。完全にしっくり来たのです。
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西野
これまでやってきたのは。
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出川裕基税理士
まさしく継続貢献営業?です。

(18)すべての因はわれにあり

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西野
一方で継続貢献営業(R)ではなかった新聞勧誘の営業はかなり大変だったようですね。
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出川裕基税理士
殴られたことはさすがに……いや、あった(笑い)。
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西野
あるんですか!
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出川裕基税理士
はい。営業がしつこかったのでしょうね。女性に背中をバシバシ叩かれて追い出されることはしょっちゅうありました(笑い)。
avatar
西野
(爆笑)
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出川裕基税理士
酔っ払っている人からビールをかけられたり(笑い)。
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西野
(爆笑)
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出川裕基税理士
庭でホースを使って水やりをしている人がそのホースをこっちに向けて水をぶっかけてきたり(笑い)。
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西野
(爆笑)
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出川裕基税理士
警察を呼ばれたこともありました(笑い)。
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西野
(爆笑)。そんなとき落ち込まないのですか。
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出川裕基税理士
落ち込みません。だって、そうされるだけのことをこっちがしているのですから(笑い)。
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西野
そう思えば納得がいくのですね(笑い)。
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出川裕基税理士
むしろ「ごめんなさい」という気持ちです。
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西野
傷つかないのですか。
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出川裕基税理士
全く傷つきません。
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西野
1981(昭和56)年に『ダイアモンドは傷つかない』という小説が発表されて話題を集め、のちに映画にもなりましたが、傷つかない出川先生はまさしく「ダイアモンド」ですね。
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出川裕基税理士
すべての因はわれにあり、という言葉が私は大好きなのです。身の回りで起きるいいことも悪いことも自分に起因すると思っていますから、そうなるということは、私の話し方や営業の仕方が悪かったということなのです。
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西野
非常に前向きです。
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出川裕基税理士
前向きでないとやってられません(笑い)。普通に考えても営業の大半はいやなことですから。

(19)10分の1でも成功すれば御の字

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西野
どんな子供時代でしたか。
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出川裕基税理士
普通の子供です。前向きでもありませんでした。昔のことはあまり覚えていないのですが、中学1年のとき転機が訪れました。成績はドベだったのですが、「10位以内に入ったらMDプレーヤーを買ってやる」と父に言われて、一生懸命勉強したのです。そしたら3位くらいになって。
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西野
すごい。
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出川裕基税理士
しっかり勉強したらできるんだ。自分が一生懸命やれば何とかなるんだ。そういうことを思ったのが、中1のときに訪れた転機でした。
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西野
成功体験ですね。
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出川裕基税理士
さらに新聞勧誘の経験ですね。あの経験があったから、営業は戦略だと学んだのです。失敗するのは当たり前、10分の1でも成功すれば御(おん)の字、と思える精神を養えたのでしょう。今もずっとそうです。
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西野
保険営業マンが身に付けたい精神です。人間関係ができていると思っている人に保険の話をしただけで邪険に扱われたり年賀状が来なくなったり。落ち込みますもん。
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出川裕基税理士
だからこそ保険以外の価値を提供することが大事になりますよね。
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西野
はい。出川先生に「相続事業承継診断士講座」をやっていただいているのはその一環ですね。

(20)時間がない

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出川裕基税理士
あいうえお
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西野
出川先生は税理士という枠にとどまっていません。
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出川裕基税理士
もっといろいろなことをどんどんやっていきたいです。
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西野
10年後20年後30年後をどう描いていますか。
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出川裕基税理士
あまり先までは見えていませんが、10年後はアイユーコンサルティンググループとして、うちのビジョンに沿って、中堅や中小、ベンチャー企業の成長支援をして、日本の未来をつくる、というところを実現させていく動きを、今やっています。
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西野
まっすぐ進んでいますね。
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出川裕基税理士
しっかり働けるのはあと20年ちょっとしかないと思うと、時間がありません。20年30年後は私より後進がやるほうが絶対いいわけで、そのためには、私たちが抜けないと後進が腕を振るう場を設けることができません。なので、早い段階でいろんな会社をつくって、私たちがそちらに移ってもいいですし、新卒や部下が社長になりたいという気概を持っていれば、どんどんそこを任せてあげる仕組みをつくってあげたい。
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西野
そこまで見ているのですか。
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出川裕基税理士
見ないと組織としても業界としても生き残ることはできないと思います。毎日毎日ずっと仕事のことばかり考えています。
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西野
読者の大勢が「あの出川先生がそこまで」と驚くに違いありません。爪の垢を煎じて飲まなければと思いました。

(21)タスク管理

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出川裕基税理士
もう少しお話しします。私はPDCAを回すためにタスク管理を徹底します。五島さんが言う「1日に5人の社長に会う」というのと同じです。ゴールに向かって何をすべきか徹底的に考えるのです。
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西野
目の前ではなく、ゴールを見るのですね。
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出川裕基税理士
例えば、月次のゴールが100万円の売上として、商材100万円、成約率10%とすると、10人に会えば達成できる計算ですよね。このゴールの前に、経営者10人に会うためにはどうすればいいのか、さらにタスクを設けていきます。DMでもテレアポでも何でもいいのですが、それができなければ、できるようにするためにどうすればいいか詰めていきます。
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西野
タスク管理にいろいろな秘訣がありそうですね。
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出川裕基税理士
実はこれを経営者に売っているのです。コンサルティングではなくファシリテートです。
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西野
それ、新しい講座でやってほしいです。

(22)タスクを徹底して掘り下げる

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西野
新聞勧誘の営業や前の事務所での営業など、営業時代に培った経験を踏まえて体系化した感じがします。
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出川裕基税理士
はい。私には全く必要のないサービスですが(笑い)、身についていない人はやったほうがいいです。税理士業界にもそういうサービスがあるのですが、「今月は売上が目標まで行きませんでしたね」とか言う程度のサービスです。そんな助言で目標まで行けるわけがありません。それで目標に達したら誰も苦労しません。
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西野
社長に教える立場である法人保険営業マンも学ぶべきですね。
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出川裕基税理士
シー(SHE=戦略法人保険営業塾)の会員さんは財務を学んでいます。財務ができると、より強くなります。まず財務のボトルネックを見つけることができます。例えば「粗利が低い」とか「ここからの仕入れが高い」とか。変えるべきポイントはシーで学んだことを使って見つけることができます。そこにフォーカスして、あとはタスクを徹底して掘り下げるだけです。うちのアイユーコンサルティングはそれをやっているので、おかげさまでよく売れているのです。
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西野
タスクを掘り下げると営業に直結するんですね。
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出川裕基税理士
シーの会員ではないTOTの人なら絶対に、100%やっています。それをしないと、学ぶべきポイントや攻めるべきポイントが分からないので。
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西野
面白そう!
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出川裕基税理士
保険営業マンにプライベートでやっています。個人コーチングふうに。

(23)生意気ですが

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西野
キーワードは「タスク」ですね。
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出川裕基税理士
社長は基本わがままで、自分のことを否定されるのは好きではありません。そこをどうやって社長の考えを調整しながら、社長が自分で考えたと見せていくかがとても重要です。自分で考え出したという点がすごく大事です。
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西野
ある種の心理戦です。
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出川裕基税理士
保険営業マンではない私が言うのは生意気ですが、保険営業の仕方はもっとあるのではないかと思います。ここだけの話ですが(以下略)。
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西野
それは考えたこともありませんでした。なるほど。目のつけどころが違いますね。新型コロナ騒動が下火になったらぜひセミナーをやりましょう。
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出川裕基税理士
具体例としてお話できることはたくさんあります。これ、無料でやってはいけませんか?
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西野
マジですか?! いや、高い価値があるのに無料にしたらいろいろな人が来てしまいかねません。新型コロナ感染の動きを見ながら、春くらいにスタートできるといいなぁす。出川先生とあらためて内容を詰めましょう。そのあとエフピーステージ社内で企画を提案します。少なくともTOTやCOTになっていない人はみんな受けるべきセミナーになるのは間違いありません。
(おわり?)