思わぬアクシデントもあった医療法人への貢献とは
医療法人に貢献したというご連絡をくださったのは代理店社長中田悦司さん(57歳)
SHE導入財務基礎講座に去年8月入会
西野
保険業界の前はどういう仕事をなさってましたか?
中田さん
大学を卒業して就職せずに役者をやっていました。
西野
え? 役者?
中田さん
はい。お芝居をやっていました。
西野
いきなり面白いです。
中田さん
大学時代に劇団ひまわりという養成所に行きました。
西野
劇団ひまわり。めちゃくちゃ有名な劇団です。
中田さん
大学を卒業して就職せずに、次は劇団ひまわりとは別のところでお芝居やコントをやっていました。たいしたことありませんが、テレビでも多少やっていました。
西野
すごいじゃないですか!
中田さん
大学を出て1年経ったころ居酒屋でバイトをしていたのですが、そこに東京海上の支社長が飲みに来ていて、損保の研修生としてスカウトされました。
西野
役者を辞めたんですか?
中田さん
芝居もあるし役者もやらなければならないしという条件でも当時入れてくれました。
西野
となると、保険業界歴は長いですね。
中田さん
めちゃくちゃ長いですね。34~35年でしょうか。
西野
どうでしたか?
中田さん
最初のうちは全くやる気がなかったので、研修生は卒業できたのですが、実際に真剣にやり出したのは30歳くらいで。
西野
基本は損保ですか。
中田さん
私が始めたころは生保と損保を一緒にやる時代ではなかったので、損保だけやっていました。それがアクサ生命つまり当時のニコス生命の人と知り合いになり、30歳くらいから生保をやっています。生保は27年くらいになりますね。
西野
長い! 生き残っているのがすごいです。
中田さん
いえいえ、そんなことありません。
西野
ご謙遜を。医療法人のお話をうかがいますが、どういうところで知り合ったのですか?
中田さん
損保のお客さんです。損保の商品に所得保障保険があり、30過ぎにこの仕事を一生懸命にやろうと思ったとき、この所得保障保険をいっぱい売ろうと思って、テレアポをずっとしていました。
西野
テレアポの対象は決めていましたか?
中田さん
動物病院と、当時は歯医者さんも景気がよかったので歯医者さんに、いっぱい電話をしていました。
西野
動物病院と歯医者ですか。
中田さん
その収入保障保険で20年くらいお付き合いがあるお客さんです。
西野
テレアポは地元に絞ってかけましたか?
中田さん
当時はタウンページを無料でもらえたので、私は東京・町田ですが、東京23区と神奈川県のやつを全部もらいました。年に1回の発行なので、新しいタウンページと1年前のタウンページを見比べると、新しく開業した歯医者がチェックできるのです。あのころは歯医者がものすごく増えていました。
西野
見比べるんですか! そんな方法があったとは。
中田さん
はい。そこにテレアポしました。今もそのテレアポのお客さんが8割です。
西野
堅固な土台を築いたんですね。
HSC(今のSHE導入財務基礎講座)に入会なさったのはいつですか?
HSC(今のSHE導入財務基礎講座)に入会なさったのはいつですか?
中田さん
去年の8月です。
西野
入会なさったのはなぜですか?
中田さん
菊池さんに誘われまして。東京海上の代理店というところが同じなんです。
西野
順風満帆だったのではありませんか?
中田さん
生損保ともいろいろありましたし、相続などを少し勉強していたのですが財務のことは全く分かっていませんでしたから。
西野
生損保の仕事で財務の知識の必要性を感じておられた?
中田さん
決算書を見ても、素人なので見るところは黒字かどうか程度でしたから、勉強しようと思ったのですが、まさかコンサルをしようとは全く思ってもいませんでした。
西野
当時から決算書を見る機会はあったんですか?
中田さん
損保では売上がないと駄目だったりするので、決算書を見る機会は多かったです。
西野
何か本を買って勉強するというのは?
中田さん
いえ、ほとんど(苦笑い)。
西野
それでも仕事はしっかり回っていたということですよね。
中田さん
おっしゃるとおりでございます(笑い)。
西野
もともとスゴ腕の保険営業マンです。それでも勉強しようと思われたのですね。入会してどうでしたか?
中田さん
五島先生も沖野先生も衝撃でした。新しい言葉がどんどん入ってきて。
西野
どんなふうに行動が変わりましたか?
中田さん
五島先生と沖野先生に決算書を持って行って相談させていただきました。教わることでお客様のことがよく分かりました。
西野
決算書の相談はしましたか?
中田さん
はい。五島先生と沖野先生に見ていただきました。
西野
相談のときメモを取りましたか?
中田さん
録音をすることが頭になくて、五島先生に「録音しなくていいのか」と言われて怖かった記憶があります(笑い)。
西野
緊張のあまりICレコーダーを持って来たことを度忘れした会員さんもいます。五島さんに相談する前からICレコーダーの録音ボタンを押すことをお勧めしています。
ところで、決算書が読めるようになってどんな変化がありましたか。
ところで、決算書が読めるようになってどんな変化がありましたか。
中田さん
うちは生損保の代理店で、今年は生保の17年連続コンベンションがかかっていましたから、1月にいろいろなお客さんに電話をしました。今回の医療法人は自動継続の保険に入っていただいていたり先生がお忙しいということもあり、全く会っていませんでした。そこで、「20年くらいお話ししていませんし、私はパワーアップしてきたので、ぜひお話しをさせてください」とお伝えしました。
西野
言うべきことをまっすぐお伝えになったんですね。
中田さん
お会いしたとき相続の話になりまして。先生のお母さまが亡くなって、お姉様と争う相続が起きていました。そこで、五島先生がよくお連れする税理士や弁護士の先生のお力をお借りするいっぽうで、私は財務を見ることができるとお伝えして、決算書を見せていただきました。
西野
どんな決算書でしたか。
中田さん
それがボロボロで。「だいぶご苦労されていると思います」と話させていただいて、「もしかしたらお役に立てるかもしれません。よろしかったら私とコンサル契約をしませんか」と自分でも思いがけない言葉が出てきました。沖野先生から教わったことがぽろっと出たのかもしれません。割と簡単に契約できました。
西野
すんなりと財務コンサル契約できた裏話は何かありますか?
中田さん
ご契約くださったのが3月の頭でした。その前に吉原さんから「安い値段で引き受けては駄目だよ。安い金額だと向こうが本気にならないから絶対に駄目」とアドバイスしてくださって。
西野
ここで「吉原さんって誰?」とご存じない読者のために申しますと、吉原さんは山梨中央銀行で社長塾を開催した経験者で、もちろん戦略法人保険営業塾の会員です。
中田さん
吉原さんのおっしゃるとおりだと思ったので、医療法人の先生に対して私としては大きな金額を提示したのですが、あっさり財務コンサル契約してくださったのです。
西野
ちなみに?
中田さん
月額15万円です。
西野
素晴らしいです。
中田さん
日本BCP協会の講座には1月から行っていましたが、3回目を受ける前、つまりまだ2回しか受けていない時期でしたので、財務コンサル契約したのはいいけれど実際どうしようかとなりました。そこでソエジマさんに連絡したところ、丁寧に教えてくれたのです。ソエジマさんがやっているものをパワーポイントで送ってくれたりもして。本当に助かりました。財務コンサルの1回目はそれを踏まえて取り組んだのです。
西野
ちょっと宣伝めきますが、同じ志を持って勉強している素晴らしい仲間がいて助け合う、支え合う。そんな気風が戦略法人保険営業塾には流れていると言っていいでしょう。いろんな研修会がありますが、これは戦略法人保険営業塾の大きな特徴の1つと言えます。
その医療法人の先生の反応はどうでしたか?
その医療法人の先生の反応はどうでしたか?
中田さん
財務をほとんど分かっていらっしゃらなかったので、一生懸命聞いて理解していただけたと思います。ただ、財務コンサル契約をしたあといろいろ分かったのですが、去年の9月からリスケ状態で1000万円ほどの債務超過でした。3月に新型コロナウィルス感染が増えてきたとき、日本政策金融公庫にコロナ融資を先生が申し込みました。そのとき私はまだ関わっていなかったのですが、売上が下がった資料を税理士から渡され、それを持って行ったところ、融資を断られました。財務コンサル契約をしたのはいいけれど、このままでは医療法人がもたないかもしれないという話になってきて、それはそれはものすごい責任を感じるようになりました。
西野
財務コンサルを引き受けて、顧問先の財務改善をあれこれ考えると夜眠れなくなったと語っていた会員さんがいました。
中田さん
2月や3月にSHE実践研究会やSHE交流会に出て、返済計画を立てないとお金を貸してもらえないと思い至りました。「お金がないから貸して」では貸してくれるわけがないと思い、新しくなった5(ファイブ)シートに当てはめて作成しました。
西野
5シートの出番だったんですね。SHE会員なら誰でもダウンロードして活用できます。
中田さん
5(ファイブ)シートを作成するとき内田さんに見ていただいたり教えていただいたりして、お世話になりました。
西野
おお。内田さんに。ここで内田さんを知らない人のために説明しておくと、山梨中央銀行の現役の銀行員で、SHE実践研究会の講師などをしてくれています。現役の銀行員ですから、今の銀行の状況や立場を踏まえた目線でもって融資案件を見て助言してくれます。中田さんはSHE実践研究会でも勉強しているからこそ、このように内田さんに助っ人をお願いすることができたのでしょう。ここ、ものすごく大事です。
中田さん
幸いにも利益が出る要素があったので、1つはメイン銀行に渡し、もう1つはうちの会社のメイン銀行に「もしかしたらお願いするかもしれないから」と言って渡しておきました。
西野
万一に備えて行動したのですね。素晴らしいです。
中田さん
6月から返済が始まる予定でしたが、沖野先生が交流会で「リスケの延長をお願いしないと厳しいかもしれない」とおっしゃっていました。2月のPLは去年よりよくなっていたこともあり、メイン銀行が話に乗ってくれ、リスケとコロナ融資の一本化の話になりました。
西野
5(ファイブ)シートをメイン銀行が評価したのですね。
中田さん
先生からも「決まった」と電話がありまして、そのころ五島先生や沖野先生にご報告し、西野さんから「取材したい」とご連絡をいただきました。
西野
はい。そうでした。
中田さん
ところが、その翌日です。銀行に電話をしたら「実は内容に問題があって」という話になり――。
西野
突然のアクシデント。いったい何が起きたんですか?
中田さん
実は医療機関で厚生年金を去年の9月から払っていなかったことが分かったのです。それで保証協会のほうでバツがついて。今年の1月からは新型コロナの関係で払っていなくても大丈夫らしいのですが。
西野
厚生年金の未払いが融資に影響を及ぼすんですか。知らなかったです。この問題をどうしたんですか?
中田さん
担当者に来てもらって、「何とかならないでしょうか」と話しました。最初は「何ともなりません」と言っていたのですが、「そこを何とか」とずっと話していたら、「どうなるか分からないけれど、9月からの未払い分をどうするかという資料を年金事務所に提出して、それでOKが出るのであれば、保証協会に再度話します」ということになりました。
西野
中田さんがあっさり諦(あきら)めていたら相手からそんな助言は出て来なかったのではないでしょうか。粘った交渉の賜物ですね。
中田さん
そこで、決算が終わる今年の10月から支払う計画書をつくり、年金事務所に出してOKをもらいました。OKの書類と作り直した試算表を保証協会に出し、無事に解決できました。
西野
すごい! 危機を見事に脱したんですね。
中田さん
その間に、そこが駄目になるかもしれないと思ったので、以前断られた政策金融公庫に利益改善計画などを出しました。
西野
慎重に危機管理なさったんですね。
中田さん
その結果、一本化と2500万円の枠でOKが出ました。
西野
大きな金額です。先生はどんな反応を?
中田さん
先生はめちゃくちゃ喜びました。
西野
ですよね。歯の治療は得意でも、普通ほかのことは専門外ですから。ましてや銀行との交渉となると。ところで先生は保険はどうでしたか。
中田さん
いま入っている保険を全部見せてもらいました。税理士との関係でやめられない保険もありましたが、無駄に入っている保険がけっこうあって、月30万円くらい払っていたのを半分くらいに整理しました。
西野
年間にして約180万円! これも大きな財務改善ですね。
先生との保険契約は具体的にどんな内容ですか?
先生との保険契約は具体的にどんな内容ですか?
中田さん
20年くらいのお付き合いで所得補償保険にご加入いただいています。定期保険で保険料が月額約9万円です。ほかには個人でも15万円くらいお支払いでしたので、整理して5疾病付の収入保障と医療とがんで月額7万円ほどの保険料になりました。
西野
先生が中田さんを見る目が変わったのではありませんか?
中田さん
そうかもしれません。「自分で何度も銀行に行ったのに相手にしてもらえなかった」と言っていましたから。
西野
これでめでたしめでたし、となりましたか?
中田さん
いいえ。12月に変なビジネスローンでお金を借りているのです。売上債権を担保にしたファクタリングのような。金利が13.何パーセントという。
次はそれを何とか早く解消したいと思っています。
次はそれを何とか早く解消したいと思っています。
西野
実践を積み重ねていらっしゃいますが、今回の経験から得た教訓というのか思いというのか、そういうものはありますか?
中田さん
1つは、とにかくやってみようと思って実際にやってみたことがよかったのかなと思います。
西野
五島さんが口を酸っぱくして「行動」を呼びかけています。それを中田さんは実際にやったわけです。
中田さん
知識もないのにやってました(笑い)。
西野
行動力、素晴らしいです。
中田さん
2つめは、つぶれたらえらいことになるという法人に関わったのは今までにないプレッシャーでした。16人もの人間がいる医療法人ですから。
西野
ましてや財務コンサルとしてお金をもらって関わったわけですから責任重大です。
中田さん
そうです! 本当にそう思いました。
西野
夜眠れなくなったりしませんでしたか?
中田さん
ありました。どうしようと思うと。売上が落ちたら給料の遅配が起きるのかな、などといろいろ心配しました。
西野
今回のご経験を踏まえてほかの経営者にも声をかけていらっしゃいますか?
中田さん
はい。既契約者に法人がけっこういますので。「今こんな勉強をしていて」と伝えて決算書をあらためて見せてもらったりしています。もちろん今の財務コンサル先である医療法人に対しては、利益改善をしてBSをよくするのが大事な行程ですので、そこに向けて頑張らないといけないと思っています。
西野
ということは勉強をしっかりなさっているんじゃないですか?
中田さん
今まではやっていませんでしたが、五島先生に教わるようになって朝7時から最低でも2時間は勉強しています。
西野
どんな勉強ですか?
中田さん
SHEやBCP、交流会のビデオを何度も見ていますし、いろいろなところで紹介された本も読んでいます。
西野
朝7時からの勉強ということは早起きですね。
中田さん
5時過ぎに起きています。
西野
以前はどうでしたか?
中田さん
7時過ぎです(笑い)。
西野
五島さんがよく言っているように、考え方を変えたからこそ行動が変わり、仕事が変わったことが中田さんのお話しからよく分かりました。
-終わりー