五島聡はこう教えています。「生命保険はパーツだ」と。パーツ、つまり部品なのです。社長に対して生命保険だけを単体で営業するものではないのです。

 ここでピンと来た人は立派ですが、大半の人が「どういうことだろう?」と思ったのではないでしょうか。個人保険と法人保険は考え方が少し違うのです。

 まず個人保険ですが、これはもう皆さんご存じのとおり。万一のことがあったときの備えです。
万一のことがあったときの備えは法人保険でも加入理由の1つになります。しかし、それがすべてではありません。ほかにも法人保険が必要な時がいくつもあるのです。それぞれの目的に合わせて必要額を算出します。例えば、これも保険営業マンなら大勢が知っている社長の退職金の準備があります。いつ退職するかなどをあらかじめ社長が決めておく必要があり、それに合わせた準備を生命保険で実施するのです。

 なぜ、こんなことをすると思いますか? 社長の思いを想像できますか?
 社長にとって自分の会社は何よりも大切です。この気持ちを理解するのが法人保険営業のはじめの一歩と言ってもいいくらいです。保険の話を持ちかけてもほとんど反応がない社長に、社長の会社の話をしてみてください。恐らくほとんどの社長が身を乗り出してきます。同じような経験をした人がいるのではないでしょうか。自分の会社の話は社長にとって最重要課題なのです。

 よく考えるまでもなく、当たり前ですよね。会社がうまく行かなければ大変なことになります。万一破たんしたら、取引先に迷惑をかけます。従業員を解雇しなければなりません。社長自身の生活も立ちゆかなくなります。会社と社長は一蓮托生なのです。
 したがって、法人保険を社長に話す際には社長の会社の話を分けてはいけないのです。自分の会社と無関係の話に社長は興味を示しません。社長の会社の未来と法人保険は裏表の関係にあるのです。だからこそ五島聡は「保険はパーツだ」と教えているのです。