相続における自社株問題とは
中小企業経営には自社株の集中が求められます。
しかし、相続には平等原則があるため、後継者に自社株を集中させてしまうと、他の相続人から遺留分減殺請求を起こされるおそれがあります。
これが会社法における自社株問題と相続における平等原理の対立です。この対立を事前に解決しておくことが、正しい事業承継、「もめない、困らない」事業承継をするうえで重要になります。
自社株は後継者に100%集中させることを目指すべきでしょう。なぜなら、少数株主の問題が発生するからです。会社の支配権を確立させるためにも、自社株は集中させることが中小企業における事業承継の大原則になります。
自社株の移転方法は三つしかありません。売買、贈与、相続です。
贈与と相続が一般的ですが、問題が起こりやすい移転方法でもあります。その理由は、贈与も相続も遺留分減殺請求の対象になるからです。
税金税の対策だけを考え、自社株を贈与や相続で移転すれば節税することができますが、もしも裁判になってしまうと、そのための費用や、家族の人間関係にまで影響を及ぼす大きなリスクがあります。
したがって、私たちは自社株の移転については、適正価格での売買を勧めています。適正価格で売買された株式は遺留分減殺請求から外れるため、贈与や相続のようなリスクを回避することができます。
ただし、適正価格での売買は当然、買取資金の準備を行なわなければいけません。
「事業承継をするうえで、いくら現金を用意しなければならないか」ということをある程度想定し、そのうえで最適な保険契約を選択し提案すべきです。
保険営業は、このような明確な出口戦略を持っていないと、顧客にとってあまり価値のないプランになったり、価値が損なわれたりしてしまう危険があります。
実際、現状で契約されている保険を分析してみると、「なぜこのような加入の仕方をしているのだろう」と疑問を抱く場面がよくあります。
法人を相手にする保険営業マンは、継続的な貢献をしなければいけません。だからこそ納得性の高い保険を顧客からお預かりするために、出口を明確にしておくことが重要です。
現在、相続と事業承継の仕事をしていくなかで資産性の生命保険は非常に大事な商品になっているように思います。
会社を相手に相続と事業承継の仕事をする場合、資産性の生命保険は不可欠でしょう。退職金の財源は資産計上の保険が有効な場合もあるということを覚えておいてください。