借換提案を受けた企業からの相談について、助言した内容をシェアします

サブバンクからの融資一本化の提案に、融資額の1.5%の手数料がなぜ必要?

サブバンクから、メインバンク借換資金の提案を受けました。
プロパーと保証協会の証書貸付をそれぞれ「おまとめ」して新たな証書貸付(10年)へ切り替えましょう!という内容。これにより、毎月の約定返済が大幅に下がる。
「返済額軽減はありがたいのだが、融資額の1.5%とある手数料がなぜ必要なのか分かりません・・・」という質問。

銀行は金利(利息)でなく、手数料がほしい?!

■借入期間5年に対する利息は、毎年少しずつ銀行の収益となります。一方、手数料は初年度の収益となります。ここで重要なのは、支店長の任期は何年か?ということです。約2年です・・・。ですから、利息ですと未来の収益は次の支店長の手柄となります。よって未来の利息よりも、今貰える手数料がほしいのです。担当者も同じです。また、今年の支店業績が足りない場合、手数料でないと即効性がなく、穴を埋められません・・・。そんな金融機関の事情があるのです。

<ストラクチャリング手数料とは何か?>
■ストラクチャードファイナンス(通称ストファイ)と呼ばれる融資は、非常に組成が難しく、特殊な融資を指します。通常の融資ではカバーできないような企業のニーズに応える融資ともいえます。一般的な金銭消費貸借契約ではカバーできないため、契約書も一から作成します。このような業務が非常に煩雑であるため、手数料が発生するものです。通常は、この手数料を支払っても、企業は特殊な融資が利用できるため、メリットがあるのです。シンジケートローンもストファイみたいなものです。

<手数料が発生する融資が流行り?>
■ストラクチャードファイナンスは都銀に始まり、現在では地銀でも取り組みが始まっています(信金はまだ少ないです)。この流れから、「類似融資で手数料を稼ぐ」という悪しき流行があります。組成手数料だとか、「コベナンツ手数料」などと言われています。※コベナンツというのは特殊条項であり、複雑な条件といえます。よってストファイの一部です。
■本来、ストファイというのは難しい融資に対して「組成手数料」が発生するのですが、多くの銀行で「たいして難しくもない融資をストファイとして、手数料を徴求する」という姿がみえます。これはよくありません・・・。

<今回の融資について>
■融資内容・・・〇〇銀行の借り換え資金 「何も難しい部分がない…」※CF改善は良い事
■手数料が必要な融資か?・・・全く必要なし

<手数料がかからない融資とする方法>
■正しい銀行に対して「適正資金調達」の依頼を行う
■適正資金調達・・・BSの運用(資産)に見合った、正しい借り方に直すこと
例)全て長期借入となっている融資を、
①正常運転資金は、短期継続融資という返済不要な融資へ
②有形固定資産見合いの融資は、残りの償却期間等に合わせた返済期間に
③現預金見合いの融資は、当座貸越や10年程度の長期借入に
以上に変更することで、返済額を妥当な金額とします

<対応すべきこと>
■銀行に対しては「どのような組成を行い、(手数料に見合った)どのような価値を提供いただけますか?」と質問してください。
■本件により返済額が下がることは良い事です。しかし、本来はBSに見合った根拠ある融資提案を行うべきです。返済額が下がるから、この提案は良い提案というのは素人です。
■今回の融資により〇〇銀行との取引が消え、▲▲銀行の融資が増えます。大切なのは、メインバンクとなるのか?なった場合、どのような支援をするつもりなのか?ということが大切なのです。訴えるべきは、「そこ」であり、返済額が下がるからいいだろう、などという提案ではダメです。
■目先の融資など本当にどちらでもいいのです!適正な融資方法などこちらでいくらでも作れます。それよりも大切なのは「該当企業とどのような関係を築き、どのような未来を一緒に歩んでいくか?リレーションシップバンキングの考えを持っているかどうか?」です。その「姿勢」があるのか無いのか?企業は返済額軽減を、銀行は手数料を稼ごうという目先の付き合いでは全く話になりません。バンクフォーメーションを該当企業としっかり話し合うことが重要と思います。