生命保険の法人営業をしている人は必ずみるべき記事
生命保険会社に入社したら最初の1カ月間は研修を受けます。生命保険の歴史や仕組みを学ぶほか、自社が販売している生命保険商品の仕組みも学びます。もしかすると、生命保険の売り方を学ぶこともあるでしょう。
ところが会社で学ぶのは基本的に個人保険なのです。個人保険から始めるのが基本という考えが生命保険会社にあるのでしょう。そこで、生命保険営業マンになったらまずは個人に生命保険を売ることから始まります。しかし、すぐに気づくはずです。
これではいつになっても自転車操業じゃないかと。まるでハムスターじゃないかと。個人客が増えていくのはうれしいけれど、どうやって保全すればいいんだと。保全ばかりで新規開拓をする時間がなくなるのではないかと。
法人保険と個人保険の違い
そんな不安がおぼろげに出てきます。
周囲を見ると好成績を挙げているのは法人保険を売っている人たちです。
ここで気づくのです。自分も法人保険を売りたい、と。
個人保険と法人保険の違いは、文字通り、生命保険を個人に販売するか法人(会社の経営者)に販売するか、です。個人への売り方は学ぶ機会がたくさんあったけど、社長にはどう売ればいいんだ。そもそも社長の知り合いはいないぞ、などと気づき、法人保険のハードルが低くないことをも気づきます。
そのうえ、法人保険の営業の仕方を教えてくれる先輩が非常に少ないのが現実です。偶然ヒットして売ることができた人でも、法人保険の営業で続けて好成績を出しているかどうかとなると、その人数は激減するでしょう。
なぜかというと、法人保険は簡単ではないからです。難しいし、すぐに成果が出るものでもないので、大勢の保険営業マンが法人保険をやりたいと思いながらも、個人保険から離れることができないのです。しかし、これではいつまで経っても個人保険でヒーヒー悲鳴を上げることになりかねません。
法人保険のアプローチ
個人保険もそうですが、法人保険もアプローチが大事です。個人保険なら友人や親戚から回って、紹介をいただいて、というように手順が何となく確立しています。しかし法人保険はそもそも友人や親戚に社長がいればいいのですが、いないという人が大半でしょう。
ではどうすればいいか。いきなり「社長を知らない」という大問題に直面します。見込客がいて初めて保険営業は成り立つのですから、社長がいないと法人保険営業は成り立ちません。
では、どうやって探せばいいか。
これに関しては、沖野孝之がフロントセミナー(あとで説明します)で具体的な名前を挙げています。「ここに行けば社長ばっかりだよ」と。そういう団体や組織に入っていくのです。
ただし、入ればいいというものではありません。入り方があるのです。ただ単に入るだけなら誰でもできます。しかし普通は名刺交換した瞬間に「なんだ保険屋さんか」「あ、保険はもう入ってるから」という情け容赦のない反応が返ってきます。そこで挫ける必要はありません。
なぜなら、そこに入るのは生命保険を社長に売るためではなく、その組織や団体や社長のお役に立つためだからです。この考え方をしっかり持っていれば、ニコニコ顔で「保険は売ってませんから」などと切り返すことができるでしょう。
大勢の保険営業マンがいろんな組織や団体に入っています。あなたが入ったところにはすでに保険営業マンがいる可能性は十分あります。でも、びくつくことはありませんし、競争する必要もありません。なぜなら、基本的な考え方や知識、技術を身に付ければ、自然に社長のほうが「話を聞きたい」とあなたに近づいてくるからです。
「話を聞いてください」と保険営業マンが迫ると、社長はドン引きします。でも、社長から「さっきの話、もう少し詳しく教えてよ」と言われたら、立場は逆転しますよね。そういう流れに持っていくのですが、そのためには勉強が必要なのは言うまでもありません。
ところで、あなたの上司がなぜ社長が集まる場所を知らないのでしょうか。あまり大きな声では言えませんが、行動していないから知らないのです。知らない人から学ぶことはできません。
法人保険の正しい売り方がある
五島聡はこう教えています。「生命保険はパーツだ」と。パーツ、つまり部品なのです。社長に対して生命保険だけを単体で営業するものではないのです。
ここでピンと来た人は立派ですが、大半の人が「どういうことだろう?」と思ったのではないでしょうか。個人保険と法人保険は考え方が少し違うのです。
まず個人保険ですが、これはもう皆さんご存じのとおり。万一のことがあったときの備えです。
万一のことがあったときの備えは法人保険でも加入理由の1つになります。しかし、それがすべてではありません。ほかにも法人保険が必要な時がいくつもあるのです。それぞれの目的に合わせて必要額を算出します。例えば、これも保険営業マンなら大勢が知っている社長の退職金の準備があります。いつ退職するかなどをあらかじめ社長が決めておく必要があり、それに合わせた準備を生命保険で実施するのです。
なぜ、こんなことをすると思いますか? 社長の思いを想像できますか?
社長にとって自分の会社は何よりも大切です。この気持ちを理解するのが法人保険営業のはじめの一歩と言ってもいいくらいです。保険の話を持ちかけてもほとんど反応がない社長に、社長の会社の話をしてみてください。恐らくほとんどの社長が身を乗り出してきます。同じような経験をした人がいるのではないでしょうか。自分の会社の話は社長にとって最重要課題なのです。
よく考えるまでもなく、当たり前ですよね。会社がうまく行かなければ大変なことになります。万一破たんしたら、取引先に迷惑をかけます。従業員を解雇しなければなりません。社長自身の生活も立ちゆかなくなります。会社と社長は一蓮托生なのです。
したがって、法人保険を社長に話す際には社長の会社の話を分けてはいけないのです。自分の会社と無関係の話に社長は興味を示しません。社長の会社の未来と法人保険は裏表の関係にあるのです。だからこそ五島聡は「保険はパーツだ」と教えているのです。
法人保険を売るために何を勉強するか
以上のことから、法人保険を扱うためには勉強が必要だと感じたのではないでしょうか。そのとおりです。売れ続ける法人保険営業マンは勉強を続けています。勉強を続けないと、市場の変化に対応できなくなるからです。
「勉強しなければならないことは分かったけど、何をどう勉強すればいいの?」という疑問を持つ人が大勢いるはずです。ものすごく大事なのに生命保険会社でも法人保険を売るための勉強の仕方は教えてくれません。たまに優績者が社内で勉強会をしていたりしますから、それに参加するしかないのが現状でしょう。
しかし、果たしてそれでいいのかという問題があります。なぜなら、法人保険の勉強は幅広いからです。税理士や行政書士、弁護士らの領域もある程度カバーしなければなりません。分からないことがあれば士業の先生方に質問したくなるはずですが、社内勉強会では質問できる士業の先生が身近に普通はいませんから、分からないことがあっても分からないままで進んでしまいます。そんな不安な状態で社長に何を語ることができるというのでしょうか。
間違ったことを社長に伝えた結果、社長が経営上の判断を間違ってしまったら大変です。法人保険営業マンの責任の重さが分かっていただけましたか。かといって、一人で勉強できるものではありません。それはやはり、疑問が生じたときに相談や質問ができないからです。
社長の右腕にもなることがあるのが法人保険営業マンです。それくらい社長から期待されるのです。