「はき違えた貢献」

30年ほど前、顧客の医者から古い無記名債権を現金化してくれないか、との依頼を受けました。
貢献のチャンスだと思い人脈をたどっていった結果、外資系金融機関で現金化してもらうことが出来ました。

私としては当然良いことをしたと思っていたわけです。
ところがその数か月後、とんでもない事態に巻き込まれます。

とある朝7時、自宅と会社になんと国税局査察部(マルサ)の強制捜査が入ったのです。
その後は1週間ほど取り調べを受けることになりました。

なぜマルサの強制捜査が入ったのか、実はその無記名債権とはある医療法人の理事長が数年前に亡くなった際に、その時の相続人が相続財産の一部であった無記名債権を相続税の申告をせずに隠し持っていたもので、その相続人が高齢化したため無記名債権を義理の子供の医者に渡し、その現金化を私に依頼してきたものでした。

取り調べを受けた1週間は塀の中に落ちるか外に落ちるか、不安との闘いでとてもつらい日々でした。

なぜ、こんなことになってしまったのか?自問自答する中で、今回の件は「盲目的な貢献」だったことに気が付きました。

人生には様々な転機がありますが、「盲目的な貢献」から「正しい貢献」に変革を行った転機となった原体験です。