生命保険を活用した遺産分割対策

現在、わが国の中小企業経営者の平均年齢は60歳を過ぎており、事業承継が喫緊の課題となっています。

事業承継においては「後継者の特定」「承継の時期」「相続人の確認」の三つの確認が不可欠です。

相続人については「配偶者を除く相続人は何人いるか、それぞれの人間関係はどうか」を確認します。この質問に対する回答によって私たちがどのようにアプローチすればよいか、事業承継や相続の対策として保険をどう使っていけるかが変わります。

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以前は、長男が財産のすべてを相続するケースが多くありました。
しかし、現代は平等の時代です。したがって、相続問題は事業承継において大きな要素となるのです。
後継者には経営権を維持させなければいけません。経営者の家の主な財産である自社株は集中して譲り渡す必要があります。ただし、ほかの子息に対しても相続における平等を実現するために被相続人としての配慮する必要があります。

そこで最も効果的な方法が生命保険を活用した遺産分割対策になるのです。
契約形態は契約者・受取人が会社であり、被保険者は経営者です。これで死亡保険金は会社に支払われます。ただ、これで終わってしまうと遺産分割対策ができません。
退職金規程のなかに死亡退職金規程を盛り込み、その死亡退職金規程の中で死亡退職金の受取人指定まで明示しておく必要があります。こうすればその死亡退職金は受取人を指定しているので、個人の預金口座に振り込まれることになります。

ここでポイントになるのが、「まずは、あくまでも今支払っている保険料でできる範囲の対策を行なう」ということです。
なぜなら、たとえばその時点の株価が1億円であったとしてもその株価が将来上がるか下がるか分からないからです。株価が確定しなければ平等原則は実現できません。経営者が「今の株価に応じた保険金額を設定してくれ」と言うのであれば話は別ですが、まずはできる範囲の対策を提案することが重要です。

相続対策には正解がありません。
10年先、20年先、30年先の正解など求めようとしても絶対に求められるものではないのです。ですから、被相続人として、子息たちがもめないための準備をしておくことを主眼に置くことが重要になります。そのために今の予算の範囲内で保険を準備しておく、この姿勢が求められるのです。